ミュージカル

 その昔、作家の鈴木輝一郎さんが名古屋の栄で小説講座を開催していたことがあった。ワシャは友だちに誘われて、講座終了後の一杯が楽しみで参加したものである。講座には20人くらいが参加していた。老若男女が机を並べて小説論や文章論を勉強する。2週間に一度の講座だったが、刺激的な集いだった。
 そこにいつも着物で来ている女性がいたんですけどね、それが作家の奥山景布子さん
http://okehuko.blog.fc2.com/
だった。

 その奥山さんが『山三と阿国』というミュージカルの台本を書いた。そして昨日、名古屋栄のアートピアホールでその公演
http://www.bunka758.or.jp/id_theatrical.html
があったので出かけた。これがね、なかなかおもしろいミュージカルでしたぞ。スター級の俳優はいない。若い役者や声楽家の集団で、ある種、名古屋の芸能発表会にようなところもあったが、そのエンターテイメント性はかなり高かった。主役に売れている俳優を配置すれば、すぐに商業演劇ベースでの公演が可能だと思う。
 それでもね、出演者たちは頑張っていた。ワシャが観た回の名古屋山三を演じたのが、「GOH IRIS WATANABE」
https://goh5.jimdo.com/
という若者。背が高く、甘いマスクで、いい声をもっていた。細かい点を指摘すれば、いくつかあるけれど、それでも強い存在感を示して、舞台をリードしていた。それほど売れていない俳優の中に、こういった存在が光っている。歌舞伎でも名題の下部クラスにこのくらいの役者が何人かいるといいんだけどね。
 出雲の阿国役の春日井こずえさんもいい声を聞かせてくれた。名古屋顔だけど端正な顔立ちは舞台化粧に映える。
 セントラル愛知交響楽団の生演奏もよかった。
 地方の文化振興施策の範疇で、これだけのレベルの舞台芸術が創作できることは、素晴らしいと感じた。さすが名古屋は芸どころである。
 入場料は3500円だったが、この金額でこのレベルの舞台は堪能できない。正直、あまり期待していなかったのだが、金額以上の感動を味わったのだった。

 終了後、アートピアホールの1階で奥山さんを見つけたのだった。声をお掛けし、舞台の成功を寿ぐ。その後、友だちと栄地下の居酒屋で一杯。ワシャ以外はみんな女性だったので、楽しいことといったらありゃしない。
 あ〜おもしろかった。