送別会

 市内の料理屋で先輩の退職祝い。ワシャは主賓を除けば最年長なので「送辞」をやることになった。仕方がないので、お面やパネルを使ってビジュアル的に解りやすい「送辞」を8分程咄す。受けた。
 先輩の顔を模した面は4面作って持っていったので、部屋中に先輩がいて不気味だった。贈る言葉は「暗躍」だった。今後も凸凹商事の中で暗躍してほしい、という期待を込めた言葉をパネルに大書して贈った。

 宴が盛り上がってくると、わがままな後輩たちは、主賓を無視して盛り上がり始める。中には口角泡を飛ばして怒鳴りあっている課長と係長がいる。
「まあまあ止めなさいよ」
 と優しく諭したんだが、課長のほうが言うことを聞いてくれない、課長が激昂して立ち上がったところを羽交い絞めにして畳に倒した。羽交い絞めではあまり効果がないので、そこから三角締めに態勢をかえて、課長の首をロックする。でもあんまり抵抗するものだから軽く「キュッ」と締めてあげた。
「まいったまいった」と手でバタバタと畳を叩く。これ以上、ワシャが腕に力を入れると、課長は落ちてしまうので、ゆっくりと腕を外したのであった。もう課長は静かになっていた。ワシャは彼を伴って離れた場所に連れていって、飲み直したのだった。それからは借りてきた猫のように大人しく飲んでいる課長だった。

 二次会にも行くことになって、途中の交差点で通りすがりの凸凹社員をひとり捕まえて、美味しいタコヤキを食わせてくれる店に突入。ここでも激論が飛び交うが、もう主賓は帰ってしまったので「どうぞお好きなように」てなことで放任をしておいた。皆さん、適当にタコヤキを食って、ビールを飲んで、午後11時ごろ解散となったのだった。