ご縁

 今週になってから凸凹商事の先輩の何人かとお会いする機会があった。お一人は退職をされてから10年、もう70歳になっておられるのだが、とても元気だった。ちょっと立ち入った話もあって、1時間をこえて情報交換をした。
 その人から、やはりOBの、仮にKHさんとしておくが、そのKHさんの最近の話を聞いた。

 KHさんは、ワシャが企画部門で小僧だった頃の、課長だった人だ。瘠せた方だったが、いたって健康な人で、飲み方も豪傑だった。ただ、酔うとヘベレケになってしまう。駅のホームから小便をしてしまうなどは日常茶飯という困った人だった。
 でもね、当時の会社に50人くらい課長がいたけれど、その中ではぴか一の人だった。切れ味も発想力も行動力もあったなぁ。そんな人だったが、派閥をつくったり、子分を引き連れて飲み歩いたりするようなことはなかった。趣味は絵を描くことで、休日に独りでぷらりとスケッチ旅行に出かけるのを楽しみにしていた。ある意味で変わり者だったなぁ、どちらかというと断崖に立つ孤高の詩人といった雰囲気の人であった。横山大観の「屈原
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という絵があるのだけれど、そこに描かれた「屈原」のような方であった。

 その人がある時、ワシャが自社PR紙の原稿の挿絵か何かを書いているのを見つけて、「ワルシャワ君は絵を描くのか?」と尋ねてきた。「落書きみたいなものを書いています」と答えると、「絵心がありそうだな、どうだ、今度の日曜日にスケッチを描きに行くのだが一緒に行かないか」と誘ってきた。ワシャもまだ異動してきたばかりで、課長の人となりもよく判らなかったので、これはいい人物評価の機会だと思って、二つ返事で了承した。そして課長の車で愛知県の足助という町にスケッチに行った。
 それがご縁となって、愛知、岐阜、長野、静岡、三重、遠くは神奈川や石川まで足を伸ばして絵を描いたものである。それからずっと親しくさせてもらっていたのだが、退職をされたことと、ワシャの仕事が忙しくなってこととも相まって、最近は年賀状のやり取りくらいで、お顔を見ることがなかった。

 そこで冒頭の先輩との話である。
「KHさんがこの1年で2回も入院したんだ」
「え!」
「1度目は10時間にわたる大手術だった」
「えええ!」
「術後の経過も芳しくなくて再入院となった」
「ええええええ!」
 てなもんですわ。

 今はご自宅で療養されているということで、ワシャは速攻でお見舞いに行ったのだった。
 ううむ、出勤時間がきてしもうた。感動の「再会編」は、明日のココロだ〜。