メディア・リテラシー

 ワシャが「メディア・リテラシー」という言葉を教えてもらったのは作家の日垣隆さんからである。最初は2003年だったと記憶している。その前年に『情報の「目利き」になる!』(ちくま新書)を上梓されており、これがまるごと「メディア・リテラシー」の本だった。ワシャはその本を半年後くらいに書店で手に取った。そして驚いた。「メディア・リテラシー」がないとこれほど世の中が暗いものなのか。闇夜にLEDの懐中電灯を持って歩くか歩かないかくらい違うではないか!と蒙を啓かれた。
 最初の頃は、ワシャの周辺で「メディア・リテラシー」なんて言葉を知っている者がいなかった。だからいろんなところでこれ見よがしに使ったものである。とくに「防災」「環境」「企画」と、プレゼンをする機会の多い部署を渡り歩いてきたので、日垣さんからの受け売りで知ったかぶりをしたものだ。
 そして日垣さんは「リテラシー」をつけるには「本を読め」と言われた。
《マラソンをやったことにある方はよくご存じのように、わずかなスピード差が、あっという間に大きな差に広がっていくものです。》
 この本を切っ掛けとして、「メディア・リテラシー」を強化するというのはワシャの大きなテーマとなった。

 昨日のBSフジの「プライムニュース」である。ゲストが櫻井よしこさん。テーマは安倍改造内閣についてだった。そこで何度も繰り返し言っていたことは「国民よ、メディア・リテラシーを持て」ということだった。
 加計学園の話にしても、森友詐欺の話にしても、メディアが印象操作をしていることは、少しのリテラシーがあれば理解できることなのである。にも関わらず、世論は右へ左への大騒ぎで、結局、内政を停滞させる結果になってしまった。
 櫻井さんはもちろんメディアの非を強い口調で責めつつ、そのことを見抜けない国民に警鐘を鳴らしていた。テレビのコメンテーターの言っていることを鵜呑みにしてはいけない。情報は多方面から集めよ。そして自分自身で咀嚼しろ。
 朝日新聞だけ読んでいてはいけないのである。もちろん赤旗だけなら赤アホになる。「WiLL」や「Hanada」ばかりでも偏ってしまう。
 最近はネット上でも多方面の情報を集めることも可能だ。それに近くの図書館に行けば右から左まで(多少の傾向はあるにせよ)揃っている。司書に聞いて30冊も並べてもらえば、概ねのところは理解できよう。
 前述の本の「あとがき」で日垣さんはこう言っている。
メディア・リテラシーとは、広い意味で取材能力と表現力のことなのです。》
 同じことを櫻井さんの発言からも読み取れる。バラエティー番組での面白おかしい政権批判を鵜呑みにしてはいけない。