メール

 今朝、明け方の雷が凄かった。ワシャの家の近くには何匹か雷神が落っこちましたぞ。あ〜びっくりした。皆さんのところはいかがでしたか。ドンドンドンド〜ン!って、耳元で大太鼓かティンパニーが叩き鳴らされているようですな。

 さて、ワシャは就職して以来、「交渉」をすることが主な仕事だった。利害関係者、同業他社、内部調整、社外取締役などなど、多数の人と対面で話すことを得手としてきた。優しく、ときには厳しい表情で、同調したり、反発したり、なだめたり脅したりすかしたり、場合によっては手練手管を駆使して、相手との交渉を進める。
 コミュニケーションの中でも、苦手なのがメールでのやり取り。なにしろ相手の表情が見えない。眼の動き、息遣い、言葉の強弱・ニュアンス、指や足の動き、体全体から発する雰囲気などが、まったく判らない。もちろんこちら側の機微も相手に伝わらない。これはまったく情報が遮断された状態で交渉をしているようなもので、もっとも意が通じないと思っている。
 例えば、友だちと次の打ち合わせについてメールのやり取りをしていたとしよう。いろいろな情報交換があって、結局、日程は決まらなかった。調整がつかなかったのでそれは仕方がない。だから「了解しました。」と打つ。メールで打つと句点までいれて7文字。そっけないと言えばそっけないが、文字の上には現れないけれど、やり取りをした内容をすべて含め、ワシャは真面目な帝国陸軍士官のように直立で敬礼をして「了解しました」と言っているのだが、その雰囲気は字面から相手に伝わらない。
 あるいはそのメールの中で体調についての連絡が添えてあったとしよう。もちろん「あら?」と思いますよね。「大丈夫かな?」とも思います。
 思うんですが、メールを日常的に使っていないワシャは、咄嗟に、親指だけでどう答えていいものか、心配していることを短い文章で、短い時間で表現しきれないから、とても困る。パソコンであるなら、10本の指を駆使できるから、多少の思いを込めることもできるが、ガラケーの小さなボタンを太い指を使っての文章作成はかなり辛い。携帯電話の小さな画面の中だけではなかなか思いを伝えられないのじゃ。
 そんなこんなで相手に不快な思いをさせてしまうことだってある。だから、携帯からのメールは苦手だなぁ……。
 ううむ、今、パソコンで書いているこの文章でもなかなか気持ちは伝わりませんぞ。「苦手だなぁ……」と言っているのは、少し苦笑をしながら、その後に真面目な顔をして「でもメールの時代だからそうも言っておられず、指がつりながらもがんばってメールを打たなくっちゃいけない」と思っていることが、「だなぁ……」に含まれる。でも、そういわれても判りませんよね(笑)。
 電話でも同じことで、メールよりは雰囲気が伝わるけれど、情報が音声だけに限られてしまうので、やはり限定的だ。というようなこともあって、大切なことを話すときにはなるべく直接会うことにしている。
 昨日も社外役員から、苦情というかクレームというか、部下のところで処理しきれずにワシャのところにお鉢が回ってきた。そうなった時、ワシャは電話では絶対に対応しない。もちろんメールなどはご法度と言っていい。電話には一応出て、そこでアポをとって直接会いに行く。そこで腹を割って話す。これに限る。

 ある役員がこんなことを言った。
「社外役員のAさんは、ワルシャワくんにえらく気を使っているなぁ」
 あたりまえだ。あなたとはコミュニケーション取り方が違う。あなた、Aさんと何度腹を割って酒を飲みましたか、話をしましたか。

 ということで、ぶきっちょなワシャから不仕付けな携帯メールが届いたとしても怒らないでね。