読書のすすめ

 書誌学者の谷沢永一さんの『人間通と世間通』(クレスト社)の中に「読書を実生活に活かす知恵――人間にとって、成長とは何か」という文章を読んでいる。じつは今日、「高齢者と読書」みたいなことで、170人くらいの人の前で一席ぶたなくてはいけない。読書に興味をもっている人、ある程度の読書習慣のできている人に話をするのなら気が楽だが、そうは問屋がおろしてくれないだろう。
 昨日は休みだったのだけれど、結局、今日の講演のパワーポイントの作成や原稿シナリオを作っていて一日が終わってしまった。
 当日の朝(まさに今なんだけど)、本を読まない人、それも70代80代の人に、読書をどう薦めるかというところで、行き詰っていて、朝から書庫の中でいろいろな読書論をひっくり返っていて、谷沢さんの本を今手にしているというわけ。
 若手新人社員とか、せめて同僚くらいなら、本嫌いの集団であろうと、「読書のすすめ」もそれほど難しくないが、人生の終盤に差し掛かっている先輩たちに、読書の何を説けばいいのだろう……。

 古今の読書の箴言はまとめてある。西田幾太郎、日垣隆西尾幹二林望花村萬月丸山健二などなどは記録してある。しかし、読み返しても若者むきの「読書のすすめ」というか30代から40代のワシャ向けの「読書のすすめ」が並んでいるという感じ、そりゃぁもちろんその年代のワシャが集めた箴言なのでそうなっているのは当然なのだが。さて、70、80になって読書をしたことがないという層に対して、どう読書をすすめるか、これはなかなか難しい問題だ……ということを3時間前に言っていてどうするのという話。
 あとは観客の顔を見て、その場でぶっつけ本番というとこですな。今夜の酒はおいしいでしょうなぁ。