平成中村座の筋書を買った。その冒頭のご挨拶が、東海テレビの社長から始まっている。次に松竹、御園座、中日新聞、東海ラジオとそれぞれの社長が続く。みんな背広にネクタイといった出で立ちで、きちんとした様子の写真が並ぶ。
6番目は……およよ……横縞のポロシャツ、普段着だね、それを着て破顔するオッサンがご挨拶かい。誰かと思えば、名古屋市長のミャーミャーさんじゃありませんか。格式ばったことを言うわけではないけれど、日本の伝統文化の歌舞伎の筋書である。俳優たちの紹介写真はすべて黒の紋付で統一されている。役者にとっては筋書とはいえ正式なものと言っていい。そこをミャーミャーさん、いくらなんでもポロシャツはねえだろう。要するにふざけ過ぎなのである。歌舞伎をバカにするとともに、筋書を求める観客をなめている。
昨日の新聞だった。23日告示の東京都議選に河村たかし名古屋市長が参戦するんだとさ。地域政党の「都民ファーストの会」の候補者を応援し、存在感をアピールして、都知事と新党結成を目指すのだそうな。
嗚呼、小池百合子さん、ついにミャーミャーさんに付け入られる状況まで落ち込んだか。ミャーミャーさんが先の名古屋市長選への応援を小池さんに頼んだ時は、けんもほろろに断っておきながら、都民の風が変わったと感じた途端、使えるものはアホでも使えということになったのかな。
朝日新聞は書く。《減税幹部は「やっぱり河村さんが来たらすごいと思わせ、会わざるを得ない雰囲気をつくりたい」とツーショット実現を狙う。》
減税幹部はアホ?
これまで構築してきた小池百合子のイメージを、お笑い首長と会わせることで一気に崩壊させるつもりなんだね。それに「河村さんがすごい」って、たかが歌舞伎の筋書ですらバカを露呈するような人物を、心から尊敬しているとは……。そこが信者の信者たるゆえんなんでしょうが、笑える。
平成中村座の公演は名古屋城の二之丸広場でやっている。そこからも木立ごしに天守閣が見える。鉄筋コンクリートで造られている現天守閣はそれなりに時代の風合いを帯びてきて、ドテッパラに突き刺したエレベーター棟以外は、まず名城と言っていい。当たり前だけど、慶長14年に建てられた天守閣にエレベーターはなかった。だから木造にしろ鉄筋コンクリートにしろ、城を文化の財とみるならば、いくらバリアフリーとは言え、その姿を阻害するエレベーター棟を恥ずかしげもなく天守閣にぶら下げている感覚が名古屋城を二流にしている。
ミャーミャーさん、巨費をかけて木造で再建するのも結構だが、まずそういった根本の部分を考えていったほうがよいのではないか。