雨水

 新聞を寛げる。右上の日付の下に「雨水」とある。おや、もう雨水か。この間、正月を迎えたと思っていた。小寒だ、大寒だと寒がっていたけれど、土脉(どみゃく)に潤いが起こり始めているんですね。
 正岡子規は雨水にこんな句を詠んだ。
「茶器どもを獺(たつ)の祭りの並べ方」
「獺祭」は初春(しょしゅん)の季語である。獺(かわうそ)はとらえた魚をすぐには食べず、岸や岩の上に並べておくという習性があるのだそうな。それを正月(陰暦)に先祖を奉る供え物に見立てられて「獺魚を祭る」と言われた。
 季節を感じながら「獺祭」で一献というのもオツでげすな。

 オツな話のあとはゲスな話。
 月末の金曜日は「プレミアムフライデー
https://premium-friday.go.jp/
なんだとさ。霞が関の小利口なアホが考えそうなことだわさ。
「月末金曜は、少し早めに仕事を終えて、ちょっと豊かな週末を楽しみませんか?」
 こっちが聴きたい。豊かな週末ってなに?
「普段できないことに挑戦したり」
 普段なにもできないやつに月末に2時間を与えてなにが得られるというのか。
「なかなか会えない友達や家族と話したり」
 なかなか会えない友達には2時間で会えず、普段から話をしない家族とは月末の2時間と言えど話はできない。
「明るい街を散歩してみたり」
 霞が関に務めているのなら、明るい街を散歩できるかもしれないが、ワシャらは田舎者である。明るい街にいく頃には夜になっている。
「仲間とスポーツを楽しむのも気持ちいい」
やっている人はすでにやっている。ことさら月末のわずか2時間を「プレミアム」と呼ぶほどのことではない。
 むしろ月末金曜日と限定することで、この日はスポーツ施設も街も混むだろう。だったらいつでも休みが取れるようにしたほうがいい。プレミアムな日は人それぞれで違う。月曜日がプレミアムでもいいし、木曜日でもいい。そもそも特別な日は、曜日ではなくて日にちであることが多いでしょ。誕生日だったり、記念日であったりと。どちらにしても「人のプレミアムな日」を、勉強役人の薄い知識で上から決めるんじゃない。