墨絵がいい

伊藤若冲生誕300年」が終わった。テレビでも展覧会でも狂気のような騒ぎであった。東京都美術館では5時間以上の入館待ちの行列があったというから凄まじい。ある種のお蔭参りか、付和雷同か。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/20/ito-jakuchu-tokyo-metropolitan-art-museum_n_10059870.html
 ワシャは、こんな大騒ぎになる何年か前に若冲の鑑賞に行っている。愛知県美術館京都国立博物館だったと記憶している。ずいぶん空いていた。おかげでじっくりと鑑賞できたけれど、若冲は色彩が生々し過ぎて、ワシャにはその良さが伝わってこなかった。もちろん素晴らしい天才画家ということは解っている。でも、ゴッホの絵を観たときと同じような印象、毒々しいとでもいうのかな、ずっと観ていると気持ちが悪くなってくる。鶏も何羽か観たのだが、「巧い」とは思っても「いいなぁ」と思ったことはない。
 ところが今回、改めて若冲の紙本墨絵を何点か観る機会があった。これが良かった。「花鳥図押絵貼屏風」の墨の鶏は見事だ。元々、曾我蕭白や蕪村の墨絵が好きなのだが、なんのなんの若冲の墨絵も侮れませんぞ。