目を覆うテレビの惨状

 テレビが末期を迎えている。この年末年始、寄席中継のようなものはまだいいのだが、各テレビ局の作る特番が無残だ。教養どころか理性すら感じられない。その酷さはコラムニストの勝谷誠彦さんも嘆いていた。
《芸能人「いじめ」ばかりの年末年始の下劣番組。「いじめ」を糾弾しているはずの親会社の新聞社とスポンサーの説明を要求する》
 確かに、芸能界ヒエラルキーの下位にいる芸人は悲惨である。過酷なロケをやらされたり、私的なことを暴露されたり、周辺の芸人からいじられたり、これは明らかに「いじめ」である。公共の電波を使って「いじめ」を見せている。出川哲郎にしろ、森三中にしろ、いじられて、いじめられてナンボという芸風だけれども、それも度というものがある。度を超してはいけないし、いじられる方もプライドというものを見せたほうがいい。
 今では、芸人ヒエラルキーの上位にいる所ジョージでも、「笑っていいとも」の特番で女装させられるといういじりにあった。その時ばかりはあの所が怒ったねェ。その後、所ジョージは番組に出なくなったので、よほど制作側と激突したに違いない。所ジョージだから言えたし、それで番組を降ろされても、他に食っていく手段を持っていた。それがない芸人はなんとかテレビ番組に食いついていこうと必死なのである。その必死さをテレビマンに食い物にされている。弱肉強食の卑しい世界が年末年始のテレビ番組から見えてきた。もっともらしい「イジメ報道」をしながら、若手芸人へのイジメでなりたっている「芸人番組」の整合の説明をしてみろよ。

 ついでだからCMにも触れたい。最近のCM、とくにBS系は最悪である。なんで正月早々ふつうのオバサンのウ○コが大量に出た話を聞かなければならないのか。これは年末年始に限った話ではないが「お通じサプリメント」の宣伝で、どこかのオバサンが「たっぷり出たのよ〜」とか「びっくりするくらい出たのよ〜」とテレビ画面で自慢しているやつ。こんな下品なCMを流すようになったら終わりだ。ワシャは食事中にこれをかまされた。テレビ局は金のために便器……間違えた、公器としての使命を捨てている(品がなくてすいません)。このことについて元電通マンが『文芸春秋』でこんなことを言っていた。
《広告の質でいえば、恐ろしく低下している。以前は自粛していたパチンコ、チラシ然とした通販、食事時でも流れる介護おむつや生理用品が増え、競合メディアであるネットゲームなどの広告も目につく。》
 なにが「カジノ法案反対」だ。テレビは賭博場であるパチンコ屋の宣伝を喜んで垂れ流しているじゃないか。左傾的な報道番組と、下品な広告宣伝とのつじつまを合わせろよ。