冬至

 どうりで。朝はなかなか明けないし、夕方も5時を過ぎればすぐ暗くなるもんね。
 このところ忘年会続きでいささか疲れてきた。昨日も中心市街地で偉いさんたちとの年末恒例懇親会。仕事を終えて、職場から料亭に向かう途中の暗い歩道でのこと。前方の闇のなにか浮かんでいる。なんだ?およよ、男の顔が青白く宙に浮いて、ワシャのほうにスーッと近づいてくる。真冬に怪談でもあるまいし。空飛ぶ生首に出くわしたか。
 闇にぼうと浮かんでいたのは、スマホをしながら無灯火の自転車に乗った男のマヌケな面だった。スマホの青い光は不気味だ。
 ワシャの会社の防災緊急連絡システムが変わった。その連絡メールが携帯に入っていて、それに応答しようとしたのだが通じない。何度やってもはねられてしまう。仕方がないので、担当に連絡を取ると、今度はパソコンのメールに長い文章が送られてきた。それを読むと、どうやらワシャのガラケーでは通常の応答ができない仕組みになっている。だから別建てで、メールを作成し、そのシステムとは別のアドレスに送信をしなければならない。今までの連絡システムは送受信ともスムーズにできたが、システムが進化したらワシャの携帯への連絡は退化したんだとさ。進化して退化する。脳は進化するが、足の指は退化する、そんな感じか。