テレビが手本のいじめ

 漫才師の太田某。いつもふざけている芸風なのだが、どうもそれがうさん臭い。背の低い方はマジメそうに見える。「そこまで言って委員会」の準レギュラーで聡明な山口もえさんが再婚を決心したくらいだから、ホントに誠実なのかもしれない。
 夕べの番組で、太田と田中が築地場外市場の店舗を訪れるという企画があって、そこで高級おろし金と安物を比較する企画があった。大根をおろしその味を比べた。田中がスプーンで大根おろしを口に入れようとした時、スプーンを持った手をドンとついて食べるのを邪魔したのである。「なにするんだよ」と田中は文句を言ったが、太田はしてやったりといった表情を見せている。
 細かいことを言うようだがこれはイジメである。それもいい大人が電波でそれを発信して当然のような顔をしている。人がなにかモノを食べようとしているとき、スプーンやフォークを突くなんてことはやってはいけない。たとえそれが仲のいい同士でもだ。田中はもっと激怒していいのだが、芸風なのだろう。「なにするんだよ」の一言だけでことを収めてしまった。
 横浜市で発生した「原発避難生徒へのいじめ事件」である。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161115/k10010769941000.html
 これなども、当初は太田のやって見せたちょっとした嫌がらせから始まったのだろう。そんなことが、徐々にエスカレートしていっていじめにあう子供を追いつめていく。若手芸人をいじって笑いを取る番組などほとんどいじめを公然化しているものと言って差し支えなかろう。そんなものを垂れ流しておいて、別番組では学校現場ばかりに責任を押し付けるようなことを識者に言わせても意味がない。反省すべきは一億総白痴化を推し進めているテレビである。