閉会式が見事だ

「日本がたとえばブータンポーランドアイルランドなどとくらべて特殊な国であるとはおもわないが、ただキリスト教イスラム教、あるいは儒教の国々よりは、多少、言葉を多くして説明の要る国だと思っている」(司馬遼太郎

 昨日のリオオリンピックの閉会式はいかがでしたか。
 入場行進では各国の選手が弾けていた。ブラジルは言うに及ばず、フランス、アメリカ、イギリス……どこの国かは特定できないが、明らかに若い選手がカメラに向かって満面の笑顔を見せてはしゃいでいる。行列は喜びのるつぼと言っていい(もちろん例外的な人はどこの国にもいるが)。
 入場行進のトリをつとめたのが日本選手団だった。これが、日本らしい。整然と並んだ赤のジャージ。各選手は手に手に日本国旗とブラジル国旗を持ち、控えめな笑顔で入場してくる。もちろんフランスのように踊り狂う人はいないし、これ見よがしにメダルをアピールする選手もいない。「両国の旗をもってならんで歩こう」くらいは指示されていたのかもしれないが、それにしても慎ましい行進であった。
 リオから東京への「フラッグハンドオーバーセレモニー」もよかった。リオ市長から五輪旗を受け取ったのは小池さんでしたよね。これがまた日本の着物である。この衣装は世界に類をみない民族衣装で、ここまで洗練されたものはない。女性知事であったおかげで日本の美を世界にアピールできた。マリオやドラえもんキャプテン翼などアニメを駆使して新しい日本をアピールできた部分も大きい。
 安倍首相が土管からマリオになって出てきたのにはびっくりポンだったけど、あの場面は登場した瞬間にもう2〜3秒のタメが欲しかった。会場全体が「マリオが来たんだ」と認識するのには少し間が欲しかった。
 そしてマリオが立ち上がってマリオのコスチュームがはがれると中から安倍首相が現われる。これは受けた。
 その後の拡張現実を駆使したパフォーマンスにも驚かされる。ブラジルがサンバにベースをおいた(もちろん映像技術も使っているが)人間くさいアトラクションだったので、その対極にあるジャパンアトラクションが際立った。
 とくに椎名林檎氏の演出パートである「東京の夜景」以降の演技・映像が群を抜いていた。センター土管で応援団をイメージした旗振りがあって、その周囲をエキゾチックな女性が舞う……TOKYOがいかに魅力に富んだ都市であるか、東京がどれほどハイセンスな街か、トーキョーがどれほど進んだ場所であるか……。
 トーキョーショー、とてもいいアピールができたと思う。