鋼のメンタル

 百田尚樹『鋼のメンタル』(新潮新書)を読んだ。なかなか自覚させられるいい言葉があった。
《あなたもそうであるように、人間は意外に観察力が鋭いものです。決してあなただけが観察力が鋭いと思わないでください。あなたが他人の人間性をしっかり見ているのと同じように、他人もあなたの人間性をきっちりと見ているのです。》
 かつ、
《でも周りの人たちはあなたが思うほどあなたを特別視はしていません。》
《世の中には「他人の悪口を言うのはよくないよ」と発言する人がたまにいます。はっきり言いますが、そういう人はほとんどの場合、偽善者です。》
 そう断言しつつ、
《他人の悪口を言わない人は信用しない。》
 と言い切っている。
《私は周囲の人から「喜怒哀楽」が激しいと言われます。すぐに笑うし、すぐに怒るし、すぐに落ち込みます。要するに感情の起伏が激しいのです。》
 でも、
《喜怒哀楽があってこその人生》
 と明言している。ワシャも感情の分量が人より多いので、この章の百田さんのエールは心に響く。
 ゲーテの言葉も紹介している。
《世の中のものはなんでも我慢できる。しかし幸福な日の連続だけは我慢できない》
 この後にはけっこう切実な文章が続くのだが、それは『鋼のメンタル』で確認してね(笑)。
 その他に、
「バッシングは恐れるな」
「闘争心を忘れたらおしまい」
「負けることもまた楽しい」
「後悔はするだけ無駄」
「人生はジェットコースターの方が楽しい」
「心を壊すのも立て直すのも自分」
「人間関係で悩むのは幸せな証拠」
 などなど、百田さんなので、他のメンタル本とは切り口が違っていて参考になる。
 何かに悩んでおられる人にはお薦めしておきます。