大学は東京大学だ(呉先生)

 一昨日の出版記念会の話の続き。
『五感の哲学』(ベスト新書)の著者である加藤博子さんと呉智英さんのトークバトルは凄かった。知的レベルが半端ではない。「本の話」だったり、加藤先生の「田舎の話」、呉先生の「東京大学卒の権威者の話」などはおもしろかったが、こと哲学の話に踏み込むと、浅薄なワシャの知識ではついていけない。ところどころ「形而上学」とか「純粋理性批判」とか聞いたような単語があったくらいで、あとは「ううむ、知の山は高く、知の森は険しく、知の海は深い」などと、ポーッとしていただけ。それでも会場のメンバーからは、鋭いと思われる質問がいくつか飛んでいたので、「理解している人もいるんだ」と感心したものである。
 解った話の中に「学会の権威者」の話をした。昔から呉さんは「東京大学だけは別格だ」と言っておられた。これには深い意味があるのだが、ここでその説明は長くなるのでひとまず措いておく。
 ある学会の権威がいる。そういった権威は高慢だという例で、インタビューか対談かで呉さんが「先生は東京大学ですか?」と質問したそうだ。そうしたらその権威は「私が、東京大学以外の何ものに見えるというのかね、きみぃ!」と傲慢に言い放ったそうである。
 この例を引き合いに出しながら、哲学の研究者である加藤さんに「新書系の本を出すとけっこう上からの風当たりが強いんだよね」と言い、加藤さんも苦笑しておられた。権威が言うには「研究者は論文こそ書くべきであって、アホな大衆向けに噛み砕いた新書などを書くものではない」ということなんだとさ。
 そうそう今朝の朝日新聞に、一昨日お世話になったちくさ正文館書店の古田店長が載っておられた。アンソロジー(異なる作者による詩文などの作品を集めたもの)の紹介をしている。『日本近代随筆選』(岩波文庫)、『新編・日本幻想文学集成』(国書刊行会)などである。また読む本が増えてしまった(笑)。知識の世界はあまりにも広大だ。

 東大つながりで舛添氏の話もしようと思ったけれど、時間が無くなった。でも、給料全額返納を言い出したよね。そろそろ飽きてきたけれど、また触れるかもしれません。