アルジャントゥイユの空

 昨日の午後、ふと空を見上げると「天使の梯子」が何本も掛かっていた。このところ天候が不安定で、積雲がよくできる。その雲の隙間から何本もの光の帯が地上に射している。
「絵で見たような空だな」
 と思った。家に帰ってから画集を調べてみると、クロード・モネのざわついたような雲の空があるでしょ。あれですわ。とくに「セーヌ川の支流からみたアルジャントゥイユ」という絵の空によく似ている。
 光の帯を眼にしたとき、「主よ!」と思わず口走ってしまった。曹洞宗なのに(笑)。

 一昨日は、本店で会議があった。毎度のことながらワシャは自転車で行く。10分くらいの行程で、車で行くよりも2分くらい早い。だからもっぱら天気のいい日は愛車の流星号を蹴って走る。支店から出ると、頭上の雲のグレーが濃く重かった。底部が崩れて、尾流雲ができている。しかし、南の空は晴れ渡っていて、だから支店のあたりは冬の陽光に包まれていた。これで油断した。ちょうど半ばくらいまで差しかかった時、「ボツ!」と右手の甲に雨粒が当たった。「ヤ!」と思った次の瞬間、「ボツ!ボツ!ボツ!ボツボツボツボツボツ……」。
 スコールのような雨だった。あっという間にずぶ濡れになった。会議の刻限は迫っている。雨宿りする時間もないし、雨宿りする場所もない。まぁ今さら雨宿りをしても、手遅れなんですがね(泣)。でもね、おかしな話なんですが、これが楽しいんですね。豪雨をついて自転車を走らせていると、子供の頃にもどったような感覚がわいてくる。
 本店勤務の友人にタオルを借りて、髪だけは拭いて会議に出席したのだが、ズボンはグショグショで、上司や同僚から同情されたのだった。幸いに、水浴びをしたことで気持ちがすっきりして、会議での報告は上出来だった。

 画集を見ていたら、また、印象派の展覧会に行きたくなった。今度は「雲」を中心に鑑賞することにしよう。