君たちでは役に立たない

「安倍首相やめろ!」を連呼するシールズの女子メンバーがこんなことを言っている。
「就職決まらなくて自衛隊(に入る)と考えている人は周りにいっぱいいる」
 どういう脈絡での発言かというと、「安保法制」が徴兵制につながらないことが世間一般に知られてきて、そこで困ったシールズは、論調をすり替えてこう主張している。
「就職ができないとか、低収入しか得られない貧しい層が、自衛隊に入らざるをえず、結果として徴兵制になっている」
 こういう言い換えを始めている。そのベースがあって冒頭の女子の発言につながる。考えるのは勝手だけれど、それほど社会は甘くない。
 今回の関東・東北豪雨で大活躍しているのが自衛隊である。迷彩柄のヘリコプターが洪水の中にポツンと残された屋根の上から被災者を救出している動画があったでしょ。彼らは命がけで救出活動をしているのだ。一面の洪水の中、ヘリコプターから命綱一本で舞い降りていく。そんなことが口先ばかりの学生風情にできるものか。申し訳ないが「就職が決まらなかったので、取りあえず自衛隊に入ってみた」その程度の意識では、これほど高度な救出活動はできない。
 シールズメンバーの周囲にいるような連中では、訓練の段階で、3日ともたず逃げ出すだろう。国会前で騒いでいる若い連中の発言や書いたものをみると自己評価が相当高い。いやいや彼らだけではなく、ワシャらだって若造のころは自己評価が高かった。でもね、繰り返すけれど社会というか世間というものはそれほど甘くない。就職できなかったから自衛隊に入りました。貧乏だから海上保安庁に就職しました。政権が悪いので食うに困って、警察、消防に入りました……そんな連中がものの役に立つものか。

 中日新聞の「論説委員が聞く」にも登場していたシールズ期待のメンバーの奥田愛基くん。反対意見を認めない井戸の中で、肯定派に持ち上げられてその気になっていた。でもね、世間という広い世界に出てみれば、リベラルで穏健な時事通信社の田崎さんあたりで轟沈してしまった。
https://www.youtube.com/watch?v=iCFImUnJBBA
残念!世の中には田崎さんよりもっと厳しい人がたくさんいるんだよ。
 しかし、世間を知るということでは奥田くんのためになっただろう。「国会議員になったら?」という話が出ていた。でも、君がなっちゃいけない。もう少しお勉強してからのほうがいい。

 リンカーンだったかの話で、組閣をするときにある人物が推薦されてきた。しかし、リンカーン(だったと思うが)はその人物を採用しなかった。理由は「顔がよくない」ということだった。え、そりゃないだろう、という話なのだが、リンカーンの不採用の理由がふるっている。
「人間は、若いころは生の顔である。だが40歳をこえると、その人間の経験、思想、品格などが第二の顔を作りはじめる。40歳をこえたら自分の顔に責任をもたなければいけない」
 つまり、推薦されてきた人物は経験、思想、品格において、顔が形成されていなかった。それをリンカーンは見抜いたということなのだろう。顔の部品、配置の良否ではない。その人の味のようなものが醸成されていなかったから不採用なった。
 奥田くんの顔をテレビで見た。23歳であるから当然のことながら「生」の顔だ。でもあせってはいけない。これから経験をつんで、思想を学び、品格を形成していけばいい顔になる。役に立つ、立たないも同様である。
 これは自戒も込めて言っている。