本物のはすごい

 さすが呉智英さん。やはり本物の知性は切れ味がいい。今週の「週刊ポスト」の呉さんの連載「ネットのバカ現実のバカ」である。ワシャが10月21日の日記
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20161021
に「土人発言」について書いたのだが、阿呆が書いても大したことはない。が、呉さんともなると、もうプロ市民もぐうの音も出ないわさ。「支那人」も「土人」も差別語ではなく、それを問題にすることこそが愚行だと指摘される。詳しくは「週刊ポスト」の11月18日号をお読みくだされ。「ヌード」だとか「死ぬまでSEX」系の記事が多いので、ワシャは購入するのに困っているが、呉さんのこの連載だけのために入手している。いやホント(笑)。

文芸春秋2017論点」に元シールズの奥田愛基氏の論が載っている。「シールズは解散しても民主主義を忘れないでください」という題はおそらく編集者がつけたものだろう。本文は2400字、原稿用紙6枚である。でもね、おそらく冒頭と最後の部分を合せて500字程度で奥田氏の言いたいことは尽きている。途中は、民主主義の教科書的解説や、2015年のデモの経緯など、すでに手垢のついた情報で埋められている。はっきりいって中間は全削除しても全く問題ない。読者的には、デモの真ん中にいた当事者の肉声が書いてあるのかと期待したが、なんだか三文評論家のような文章で、残念でした。

 これに対して同じ「2017」版に載っている国際政治学者の三浦瑠麗さんの論点は鋭い。世界中の政治家、メディア、政治学者などがヒラリー一色に染まっていた時期に「ヒラリーに大きな戦略の組み換えは難しい」と指摘している。その上で、東アジア自由陣営の盟主である日本がどうすべきか、それをきっちりと2400字で説明している。国会前の奇行で有名になっただけの人間と本物の差が明確に出てしまった。
 本物の三浦さんが今回の大統領選について書いているので紹介します。
http://lullymiura.hatenadiary.jp/
 三浦さんは、トランプのアメリカは東アジアにコミットする気はないだろうと予測します。日米同盟のくだりでは《限られた予算の中でも、日本がやれることを日本がやりますと言って、米国の責任を一部負担し、通常兵力を増強すべき》、そして《米国内を意識しているトランプ大統領に一定の「勝ち」を与えながら、したたかに米国市場へのアクセスを維持し、東南アジア市場へのアクセスを拡大するのです。その枠組みにTPPと言う名前がついているかとは別に、当初から日本の国益であった果実は取りに行かなければなりません。》と言っている。
 こういう発言に、国を愛する政治家たちは真摯に耳を傾けるべきだろう。