給食も大切だけど歴史もね

 今朝の朝日新聞社会面。「給食 未納3カ月で停止」
http://www.asahi.com/articles/ASH6S62FYH6SUTNB00F.html
上記URLの朝日新聞デジタルのほうは紙面の続編になる。「給食費3カ月未納で給食停止 通知後、支払い急増」。
 賛否については、ネット上にあふれているので、とくに触れないが、先生たちのご苦労はいかばかりであろうか。そんな例が紙面に載っているのでちょいと引く。
《1年以上納めないまま卒業した例もあるという。元校長は、卒業生宅を督促に訪れた際、母親から「払えないのよ」と財布を叩きつけられたという。》
「という。」が重なる下手な文章だね。まぁいいや。
 このエピソードの状況である。未納が続いた生徒の家庭を校長先生が訪問した。家庭訪問の対象にしたのは支払能力のある家庭に限定しただろうことは想像に難くない。教師だって公務員なので、後々説明が苦しくなるような対応は避けるはずである。このケースの場合、支払い能力のない家庭だったとしても問題が浮かび上がる。どういう経緯があったにせよ、「払えないのよ」と財布を叩きつけてはいけない。実際に支払能力がないのであれば、その理由を丁重に説明するべきであろう。
「支払能力がないだもの、仕方がないじゃない。督促にくる教師がバカなのよ」
 財布を叩きつけるという行動には、そんな身勝手な思いがにじみ出ているのではないか。

 19世紀に「普仏戦争」が起きた。世界史の教科書には《フランスのナポレオン3世はプロセインの強大化をおそれ、スペイン王位継承問題をきっかけに、1870年7月プロセイン=フランス戦争をはじめたが、9月にはフランス北部のスダン(セダン)で捕虜となり、第二帝政は廃止された。》とだけ記述してある。でもね、この遠いヨーロッパの戦争が、それから70数年後に極東の島国に大災厄をもたらすことになる。
 ごく簡単に言うと、明治政府が手本としていたフランスがプロセイン(ドイツ)に大敗を喫したのが「普仏戦争」で、この戦争をつぶさに観察していた日本は、陸軍の体制をフランス式からドイツ式にがらりと変革させたのであった。大日本帝国陸軍に、ドイツ信奉者が増加するのは自明の理である。その帰結として、後年、日独伊三国同盟が締結され、日本はずるずると枢軸国側に引きずり込まれてしまった。
 なにを言いたいかというと、この例でもわかるように、一国が戦争を起こし敗北をするまでには、多数の要因、遠因が複雑にからみあっているのである。単純に「悪い国だったので日本は負けましたとさ」という話ではない。

 給食の時間も大切だが、歴史を学ぶのはもっと重要だと思う。とくに近現代史は、いろいろなものが「今」につながるので、日本史にしろ世界史にしろ、ここだけは手を抜いてはいけない。