4月21日の中日新聞に村上春樹のインタビューが載っていた。この中で村上さんは「アルジェの戦い」(1960)という映画に触れてこんなことを言っている。
《この映画では植民地の宗主国フランスは悪で、独立のために闘うアルジェリアの人たちは善です。僕らはこの映画に喝采を送りました。でも今、これを見ると、行われていること自体は、現在起きているテロと同じなんですよね。それに気づくと、ずいぶん複雑な気持ちになります。》
「1Q84」の中でも善と悪が簡単には決められるものではないことを言っている。「この世には絶対的な善もなければ、絶対的な悪もない。善悪とは静止し固定されたものではなく、常に場所や立場を入れ替え続けるもの」
このことを前提に、このニュースを考えたい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150505-00000001-asahi-int
またかよ。「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録される見通しとなったことに対して、韓国が反発しているんだとさ。やれやれ。
「強制労働が行われたという事実は無視したまま、産業革命施設だけで美化して登録するのは、世界遺産条約の基本精神に反する」と喚いている。
そもそも「明治日本」と冠しているのだ。これらの施設は、幕末から明治期にかけて登場し活躍している。朝鮮併合は明治43年である。それまでに産業革命は起き、日清・日露という大戦を戦いぬいているのだ。朝鮮半島を併合する前にできた施設群と言っていい。
韓国人が言っている「強制労働」というのは大東亜戦争時の「戦時徴用」のことを言っているのだが、これは日本人として、朝鮮半島の人も、東北や九州の人も、三河人も徴用ということで労働に従事していた。「強制労働」というけれども――若干の差別はあったかもしれないが――日本人と同じ扱いをしていただけのこと。
隣人として「日本に観光拠点が増えることはいいことじゃないか。その流れが朝鮮半島にも回遊する仕組みをつくれば韓国も潤うので応援をしたい」くらいのこと言う度量が欲しい。う〜ん、期待するほうが無理か。
村上さんの言にもどるが「善悪とは静止し固定されたものではなく、常に場所や立場を入れ替え続けるもの」である。韓国は、自分たちはずっと「善」で、日本は「悪」だと思っているのだろうか。村上さんに指摘されるまでもなく、歴史的な常識で考えれば、そんなことは有りえないということが判りそうなものだが……。「民族のプライドを打ち砕いた日本は永遠に許せない」んですよね(笑)。
曽野綾子さんの発言でしめたい。
「そもそも七十年近くも前になることを持ち出してきて、その非をなじるとか、金銭的補償を要求するとかいうことは、もしこれが個人の行為だったらまともな人間のすることではない」