昭和の風

 4月8日に隣の街で呑んだ時に「嘉助最中」の話が出たことはすでに書いた。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20150409
 その時には「最中」の話ばかりではなく、映画の話も先輩から出た。『レッド・ムーン』という映画である。この題名を聞いて「あの映画ね」と、物語まで語れる人はかなりの映画通と言っていい。ワシャは辛うじて「題名」と「インディアンが登場していた」くらいは記憶に残っていたが、具体的な内容はすっかり忘れていた。
 飲み会からもどって、さっそく書庫にもぐり『ぴあシネマクラブ1993洋画編』を引っぱり出してきて検索する。このレファレンス本は全洋画8600本をガイドするおそらく日本で最多の映画解説本だろう。もちろん『レッド・ムーン』も載っている。む〜ん、しかし「おすすめ度」の欄が「−」になっている。「おすすめ度」は「★★★★」から「★」まででランク分けされ、『ローマの休日』『大脱走』『風と共に去りぬ』『サイコ』などは「★★★1/2」となっている。「★★★★」はなかなか見当たらなくて『アラビアのロレンス』くらいかなぁ。
 それでね、『レッド・ムーン』は「−」で、要するに、編集スタッフの中で誰も見ていない作品ということ。だから評価が下せずに「−」になったというものなのである。それほどレアな映画ということなんですね。
 ところが居酒屋でその話を切り出した先輩は『レッド・ムーン』のパンフレットを持っていた。それを3日ほど前に見せていただいたのだが、パンフレットを見れば、いろいろなシーンを思い出す。そうそうグレコリー・ペッグが主人公だった。『ローマの休日』でグレゴリー・ペッグを知って、その後、ワシャの町の国鉄駅前の映画館に掛かった『レッド・ムーン』の看板でグレゴリー・ペッグを見つけて、それで映画を観る気になったような記憶がある。
 それにしても先輩は、当時の地方映画館のチラシまで保存されている。そのチラシを見ると昭和のあの頃が色濃く感じられて楽しい。『レッド・ムーン』の肩書には「総天然色」と記載されているんですよ。割引優待が「30円」というのも時代を感じる。ポルノ映画も紹介してあって「エロティシズム2本立て」というのが笑える。
 そういえば、高校1年の頃、友人と二人でステンカラーのコートの襟で顔を隠しながら駅前のポルノ上映館の切符売場で「大人2枚!」と言ってチケットを買ったものだ。
 そもそも子供は入れないっちゅうの(笑)。初めてポルノなるものをスクリーンでかつ総天然色で観たけれど、2列前に座っていたオジサンほどは興奮しなかったなぁ。
 おっと、話がいつもどおり逸れてしまった。『レッド・ムーン』の話である。
 物語はこんな話。インディアン居住区で起きたアパッチの暴動を鎮圧するために軍が派遣される(う〜ん、開拓時代も現代もアメリカのやっていることはあまり変わっていないのう)。その軍の道案内をするのがサム(グレゴリー・ペッグ)である。サムは居住区で酋長の娘を連れた白人女を保護した。このことで、サムたちはインディアンの執拗な追跡を受けることになる。白人目線はともかくとして、西部劇にサスペンスを盛り込んだアメリカン・ニューシネマの先駆けとなった作品と言える。

 そうそう夕べの「出没!アド街ック天国
http://www.tv-tokyo.co.jp/adomachi/
が「昭和の渋谷」だった。先月、渋谷で会社経営をしている人と名古屋で飲む機会があって、その時、話題していた立ち飲みの「富士屋本店」が13位に入っていた。昭和40年代の雰囲気がプンプンするテレビを見ながら、昭和40年代の映画のチラシを眺めていると、ハイボールが呑みたくなってしまいましたぞ。