昨日も今日も

 昨日も宴会。合計40人ほどの歓送迎会だった。会自体はわるくなかった。上位者に謙虚な人が多かったんでね。そういう紳士が上座に並べば並ぶほど、会の雰囲気はよくなる。躾が行き届くというのだろう。そういった意味では、合格点に達していた。煙草も完全に分煙となっていたので、その点も好印象だった。

 その逆にダメダメの会というのもある。こんな例である。
 3ヶ月くらい前にワシャの課の日帰りバス旅行があったと思ってくんさい。その時に、折悪くワシャにのっぴきならない所用がはいってしまった。リーダーはワシャなのだが、リーダー不在の30人ばかりの旅行が始まった。男はワシャの下にいる副課長とその部下3人、OBで再雇用されているオジサンの5人で、残りは全部女性という構成だ。問題は再雇用のオジサンだった。ふつう謙虚な人だと、こういった行事には出席を辞退する。他にも再雇用の方が何人かおられるのだが、その人たちは遠慮されていた。しかしそのオジサンだけは、OB風を吹かせて「出るのは当りまえだ」と介入してくる。話題がおもしろくて、座持ちがいい人なら大歓迎なのだが、酒に酔うと自分を見失って大虎になってしまうような人なのだ。何年か前にどこかの飲み屋で遭遇し、あまりの傍若無人さに「一喝」したことがあって、それからワシャのことを避けるようになっていた。
 課で宴会をしても、去年までの勢いはなかったそうで、「課長が来てから猫になりました」と周囲の課員が口をそろえて言ったものだ。
 その封印というか重し石がいなかったから、たまりにたまったものが解放されたんでしょうね。女性主体のお食事旅行が、カラオケ宴会バス旅行に変身してしまったらしい。そのオッサンがカラオケマイクをつかんで離さず、体調の悪くなる女性スタッフもでたくらいだ。「課長がいてくれれば……」と何人かから言われたけれど、ごめんなさい。どうしても外せない用事があって失礼をいたしました。
 でも、副課長がいる。彼がなんとかしたのではないのか。そう問い返すと、
「最初は止めてはいたんですよ。でも途中からメーターが上がってきて、2人のマイクの奪い合いでカラオケ大会になったんです」
 そりゃあ悲惨だ。上位者が暴走しはじめればもう誰も止められない。

 後日、副課長にはこんこんと言って聞かせ、再雇用のオジサンは別の部署に異動してもらった。めでたしめでたし。