お家騒動

 大塚家具のお家騒動は、とりあえず姫様の勝利に終わったようですな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150327-00000050-mai-bus_all
 高級家具にはとんと縁がありませんので、ワシャにとってはどうでもいい話だった。
 でもね「お家騒動」というキーワードがワシャの灰色の脳細胞を刺激したのだ。
 三河岡崎の話である。寛延2年というから、田沼意次が権勢をふるう少し前の時期のこと。岡崎藩に英明な藩主が現われる。水野忠辰(ただとき)である。彼は幼時より学問を好み、周囲が病気になるのを恐れたほどの読書家でもあった。16歳で藩主となり、財政難に陥っていた藩政の改革に着手し、大成功を治める。大成功したにも関わらず、改革のために既得権を奪われた老臣たちの陰険な反発にあう。守旧派藩士に手を回して、岡崎城に登城させなかったりしたんですよ。このため藩政は滞ることとなり、真面目な藩主はやる気を失い、退廃した生活に走ってしまった。「待ってました!」とばかりに老臣たちはこれをとがめ、忠辰を座敷牢に押し込める。そうしておいて「殿御乱心」と幕府に届け出、家督を守るために遠縁の大名の子を迎えて藩主とした。守旧派、仕事は嫌いなのだが、こういった手際はいい。
 忠辰は座敷牢に幽閉後まもなく、31歳の若さで死んでしまうのだが、はたしてその死にも、老臣たちの悪巧みがあるような気がする。「水戸黄門」なら、座敷牢で忠辰が弱ってきたタイミングで、御老公が登場し「ひかえおろー」と悪家老どもをやっつけるのだが、現実はドラマのようにうまくはいかない。
 案外、江戸時代の殿様も大変だったんですな。