憲法

 本日、某所で読書会。課題図書は倉山満『帝国憲法の真実』(扶桑社新書)である。
 今の世に「憲法9条教」なる宗教団体がある。言ってしまえばオウム真理教とあまり違わないカルト集団だ。倉山さんは、その原理主義者たちの経典となっている「日本国憲法」なるものを判りやすく分解・分析をし、その教団が「敵」として位置付ける「大日本帝国憲法」を読み解いてくれる。
 件の倉山さん、『嘘だらけの日韓近現代史』を書いているので、一部の人はヘイトスピーチの親玉のように思っているらしいが、倉山さんの朝鮮半島への思い入れはそれほど強くない。むしろアメリカ、イギリス、シナなど大国へ強い(ただし真っ当な)意見を述べているに過ぎない。
 さて倉山さんの憲法論については、今夜の読書会で喧々囂々の議論ができるだろうからひとまず措いて、今、昨日も登場してもらった福田恒存の著作『日本への遺言』(文藝春秋)を読んでいるのだが、こんなフレーズがあったので紹介する。
《現行憲法に権威が無い原因の一つは、その悪文にあります。悪文といふよりは、死文と言ふべく、そこには起草者の、いや翻訳者の心も表情も感じられない。》
 福田さんは第一等の翻訳者である。福田さんの訳された「シェイクスピア」は、原文の意をそこなわず、丁寧な日本語で紡いである。その人が「訳者の文章に対する愛情が見当たらない」と言う。これは「日本国憲法」を経典としてではなく、法文として読んでみたことのある方は、皆さん、そんな感じがしたのではないか。誤字もあり、いくらなんでもこんな直訳はなかろうというひどいもので、その根底には当時の吉田内閣が、マッカーサーの押付け憲法に拒否感をもっていた証拠にほかないらい。そのあたりのことは倉山さんの『帝国憲法の真実』の中で詳しく述べられているのでそちらを読んでいただきたい。その裏付けとして『日本への遺言』もいいと思う。
 日本国憲法の全文
http://www.jicl.jp/kenpou_all/kenpou.html
と、大日本帝国憲法を並べて置きますので、お暇なら見てよね。
http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j02.html

 倉山、福田ラインばかりでは偏っているので、「9条教」の重珍にも登場してもらおう。佐高信である。佐高信氏と言えば、北朝鮮の拉致をさんざんに否定していた今は亡き土井たか子とともに「憲法行脚の会」なるものをつくり、現在も地方を巡って信者に布教をしているという。未だに佐高氏の言説を受け入れ、彼のダジャレを楽しめる方々がいるのが信じられない(笑)。
http://homepage2.nifty.com/kenpou/
 北朝鮮に拉致された有本恵子さん、その相談に訪れたお母さんを、門前払いした土井さんがどーんとどアップで教団ホームページに掲出されています。有本さんの件については、謝罪も反省もなかった土井さんをご本尊にして「9条教団」(佐高信氏が事務局)はどこにいくのだろうか。