錦秋歌舞伎

 昨日、名古屋市民会館で「錦秋名古屋顔見世」のまねき上げが行われた。
http://mainichi.jp/select/news/20141003k0000e040224000c.html
 手前から菊之助時蔵菊五郎松緑らが塩をまいて厄を払う。菊之助がいい顔になってきたではあ〜りませんか。当年とって37歳、これからが楽しみな役者である。
「まねき上げ」って一般的な言葉ではないが、これは江戸時代に、歌舞伎の小屋の前で通行人に声をかけて劇場に客を呼び込むことを「まねき」といったことに始まっている。写真の右手に役者の名前が書いてある看板が上がっているでしょ。それが「まねき看板」で、この看板を劇場の前に掲出することを「まねき上げ」と言う。看板の材質は檜、大きさは、長さ一間(180cm)、幅一尺(30cm)、厚さ一寸(3cm)で、上部に山型の庵(いおり)を乗せている。これがよく見ていただくと、正確な山になっていない。「入」になっているのが判る。要するに客が「入る」ようにと験を担いでいるのである。

 このまねき上げに先立って、名古屋の栄でお練りが行われた。
http://www.kabuki-bito.jp/news/2014/09/_6_2.html
 菊之助をはじめ若手ばかりのお練りとなったが、それでも市村羽左衛門の孫の亀三郎(38)、亀寿(36)、時蔵の息子の梅枝(27)、萬太郎(25)、菊之助のまたいとこにあたる右近(22)が揃っている。亀兄弟には少し華がないけれど、年齢を重ねれば精進次第でいい役者になると思う。梅枝はいい女形になると思いますぞ。平成24年御園座で「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)の油屋お岸はなかなかの熱演だった。
 まぁ女形もいいけれど、四代目猿之助のように立役もやれるようになれば、おもしろい役者に化けるかもしれない。市川福太郎の次くらいに期待している。

 このお練にはワシャの歌舞伎仲間が偵察に行っている。菊之助を追いかけて、握手をしてもらったそうだ。細くてしなやかで柔らかい手だったそうな。そりゃよかったね(ニッコリ)。