土筆の思い出

 昨日の日記に土筆のことを書いた。田圃の畔にびっしりと生えていたんですね。
 ワシャには祖母が二人いた。父方の祖母は同居していた。母方の祖母は、岐阜の山間の小さな集落に住んでいた。どちらもワシャのことを可愛がってくれたなぁ。
 でね、どちらの祖母とも土筆の思いであるんですね。一緒に住んでいた祖母とは、街の西を流れる用水沿いに土筆をとりにいった。母方の祖母とは、屋敷の目の前が水田で、その畔に取り尽くせないくらいの土筆があったので、それを祖母や妹ととったものである。
 とってきた土筆は縁側に敷いた新聞紙の上に積み上げて、一本一本袴をとっていく。これが女、子供総出の大変な作業だった。子供といったってワシャらはまだ小さかったから、すぐに飽いてしまって戦力にならない。結局、祖母や母、あるいは叔母たちがみんな袴をとった。
 その袴とりの作業風景がなぜか心に残っていて、あぜ道の土筆を見ると、そんなイメージを、炒り煮をした少しほろ苦い土筆の味とともに思い出す。