團十郎のネタ探しで『團十郎のかぶき案内』(PHP新書)を読んでいた。その中には写真が幾葉か挟まれてあって、その中の1枚に、昭和28年10月の「大徳寺」の秀吉と三法師に扮した十一代目と十二代目が映っている。油の乗り始めた43歳の十一代目と7歳の十二代目の並ぶ貴重な一枚だ。
この時期のことを、宮尾登美子が『きのね』(朝日文芸文庫)で触れている。
《折から舞台では「大徳寺」がはじまり、信長の継嗣問題で大名たちが甲論乙駁のまっさ中、秀吉の雪雄が衣冠束帯の正装で、勇雄の三方師君を抱いてしずしずと現れ・・・・・・》
まさに写真のシーンである。
昨日の「三題噺」をどうしようかと、あちこちの本を読んでいて見つけた。また本と本がつながったのである。
十一代目も十二代目もいないけれども、別のパンフレットの間から旧歌舞伎座で買った市川新之助のブロマイドが出てきた。助六の見得をきる初々しい新之助である。新ちゃんは海老蔵になっている。やがて團十郎になっていくのだが、こうやって血をつないでいくことも歌舞伎の家に生まれたものの宿命なのだろう。
こんな話をしていたら、またまた歌舞伎が観に行きたくなってしまいましたぞ。