昨日は岡崎の石工団地で仕事をしていた。我社は石も扱っているのだ(笑)。
 あまり知られていないのだが、ワシャは石がけっこう好きなんですね。だから石がごろごろと並んだ石屋にいて、まったく飽きない。
 ワシャの家の小さな庭にも、一抱えほどの大きい岩が7つある。その他に、敷石、礎石、石臼、石灯籠、ラグビーボールくらいの縁石など大小とりまぜて190個の石と土管が3つ置いてある。土管は関係ないか。

 
 花崗岩、いわゆる御影石というやつだが、これがいろいろな種類があるんですね。墓石も多種多様でしょ。まぁ墓石は加工されているので、鑑賞できるのは色と模様くらいだけれど、自然石となると自然の造形美というか、形状そのものに趣があっておもしろい。
 昨日もごろごろと転がっている白っぽいのやら、黒っぽいもの、きらきら光る雲母が混じっているもの、あるいは少しピンクがかったものなど、観たり触ったりして楽しかった。
 また、石工さんの作業しているところも見ることができたのだが、やはり職人というのは凄いなぁ。たまたま筆文字を石に刻んでいたのだが、こまかな「はね」や「払い」も見事に彫り上げていく。石工ばかりではないが、職人というものが文化を創っているのだとあらためて思わされた。

 ワシャの庭に「亀の甲石」と呼ばれる石がある。ワシャが小学校2年のときに我が家にやって来たから、庭の主のような存在だ。大きさは70×50×40センチくらい。もちろん歪な形なので、だいたいそれくらいの容積があるということ。大きなものは、岐阜と長野の県境にある三国山の南麓に鎮座する亀の甲石で、これは愛知県指定天然記念物になっている。それと比べればワシャのはミニチュアのようなものだ。でもね、出自は愛知県の稲武と聞いているので、天然記念物の遠い親戚には違いない。石的には玄武岩で、灰色がかったすべすべとした石である。こどもの頃は、けっこうこの石の上が座りがよく、暇なときはいつもそこにちょこんと座っていた。そしていつもその亀の甲のような模様を見ては「だれがこの線を彫ったのだろう」と思っていた。まさか自然にこうなっているとは思いもよらない。専門的に言うと「亀甲型柱状節理が発達し、柱状の方向が総て岩体の延長方向に垂直な岩石」なのだそうな。
 今、観察すれば、確かに文様の垂直方向に微小なヒビが走っている。これは、名人の石工といえどもできる技術ではない。やはり自然という神のみぞなしえる業ということだろう。