ということで、お彼岸である。ワシャはすでに昨日お参りに行ってきた。ワルシャワ家の墓は、町の郊外にある。自宅から歩いて4000歩くらいでいけるので、昨日は歩いて行った。青空の下で、祖父母の眠る墓石を磨いていると、心を磨いているようでまことによろし。
昨日のNHK「八重の桜」は、ちょうど西南戦争だった。目の小さい西郷隆盛や、イケメンの大山巌には笑ってしまう。「あまちゃん」では、年齢層の高い芸達者が脇を固めているが、「八重の桜」は、せいぜい吉川、反町、獅童どまりで、全体に若気の生臭さがただよっている。
ドラマは、西郷の鹿児島出陣から、熊本城の興亡、田原坂、そして城山自決までを、わずか40分で描こうというのだから、視聴者はなにも理解できないまま、ただ並べられた年表を見るような味気なさだった。
その間に、準主役級の会津藩士の佐川官兵衛や、西郷隆盛が死んでしまうのだが、事実としてそこに並べられるだけなので、なんの感慨もない。これではヒットはしないね。
司馬遼太郎の『翔ぶが如く』では、全10巻の文庫中3巻を割いて「西南戦争」を書き連ねている。これほどを費やしてようやく人物が立ち上がってくるし、西南戦争とはなんだったのかということがおぼろげながら見えてくる。もちろん『翔ぶが如く』において西南戦争がそもそも主人公であるわけなのだが、それを差っ引いても、昨日の「八重の桜」にはドラマがなさすぎだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130922-00000525-san-pol
《28日に最終回を迎える大ヒットのNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で公職選挙法に抵触する“疑惑”のシーンがあったことが永田町関係者の間で取りざたされている。お堅いNHKが看板ドラマのなかで、まさかの公選法違反をやらかすとは、まさに「じぇじぇじぇ」の事態だ。》と産経新聞の編集委員だかが騒いでいる。
《あまちゃんファンから「重箱の隅をつつくようなことは言うな」などとお叱りを受けそうだが、一大ブームを巻き起こしたNHKの超人気ドラマでの“違法(らしき)行為”ゆえに看過するわけにはいかない。たかが朝ドラ、されど朝ドラである。》
別に看過ごさなくてもいい。公職選挙法違反でいいのだ。ただ、その物語は事後談でいいじゃん。今、進んでいる希望のドラマが一段落した後に、「市長も、ユイちゃんも、アキも、み〜んな、捕まりましたとさ。公民権が停止されましたとさ」とすればいい。
ドラマを見ていて、壁の選挙ポスターを発見し、この編集委員は「しめた」と思ったんでしょうね。でもね、ドラマとか映画とかそういうものは、重箱の隅を突きすぎて箱を解体してしまうようなそんな杓子定規なものではない。そんなことを言えば、殺戮、破壊、詐欺、恐喝など、法律に違反するものは一切取り上げられなくなってしまう。
今、大団円に向かって進んでいるドラマには、そのエピソードを入れなければならない必然性がないので割愛する。それでいい。水を差すにしても終わってから差せばいいものを、こらえ性のない編集委員だこと。