作為的な紙面編集

 夜明け前に夢を見た。市内を走る国道1号を車で走っていた。空は快晴なのだが、国道1号は濁流になっている。道の外は海のようだ。これがものすごくリアルな夢で、フロントガラス越しだが、目の前でうねる濁流に恐怖を感じた。
 たぶん京都嵐山の桂川の氾濫を何度も何度もニュース映像で見たために、それが脳裏にこびりついて、そんな夢を創造してしまったのだろう。
 冷や汗をかきながら、目を覚ませば9月21日の朝は明けていた。時計を見れば午前5時を少し回っている。超天然色の夢を見ていたらいつもより寝過ごしてしまったわい。

 79年前の昭和9年の今日、室戸台風が京阪地区を直撃した。死者2866人、負傷者1万5千人、建物被害は47万棟に及んだ。この中には大阪四天王寺五重塔も含まれている。
 とんでもない台風は、温暖化の進んでいない戦前でも発生していた。だから環境原理主義者の皆さんが口をそろえて喧伝している屁理屈には与しないことにしている。

 今朝の朝日新聞オピニオン欄がおもしろい。1ページの中に、7人の投稿と社説が2つ、「記者有論」、「朝日川柳」、「かたえくぼ」などのコーナーがあって、センターには針すなおさんの一コマ漫画という構成である。
 この紙面で、77歳の愛知県のおじいさんが言う。
「リニアを急ぐ必要があるのか。緊急を要する東日本大震災の復興に影響が及ぶ恐れがある」
 13歳の中学生が疑問を呈す。
東京五輪は楽しみにしていますが、心配なこともあります。それは東日本大震災の復興が遅れないかということです」
 社説もダメ出しをする。
「福島第1の状況はコントロールされていると言って五輪を招致したが現実は違うじゃないか」
「かたえくぼ」はこんなふうだ。
《『暗くて遠い旅……』今は山中〜今は地下――リニア》
 要は、オピニオン欄を1面使って、せっかく明るくなろうとしている雰囲気にケチをつけまくっている、そんな気がする。とくに色のついたマスコミの報道は、プロパガンダであることが多い。このオピニオン欄でも、投書をチョイスして編集する人間の思想が色濃く出ている……なんてことは皆さんとっくにお気づきでしたね。