クレーム文書について

 引き続き「風立ちぬ」のタバコに対してのクレームの件である。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130814-00000005-jct-ent
 ネット上では日本禁煙学会に対する批判が噴出しているという。このクレームの是非が、やはりネット上でアンケートされていたが、8割超が「このクレームはおかしい」とし、「このクレームは正しい」とした意見を大きく凌駕した。
 この結果を見て「ネットの意見もけっこう健全じゃん」と思うのだった。これが普通の健全な人たちの感覚なのだろう。今まではごく少数の喧しい連中に「俺たちが世論だ」とばかりに誑かされてきたが、こういったかたちで真の市民の意向が解るようになったのはネットの功の部分であろう。
 また、喫煙文化研究会も日本禁煙学会に反論を出した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130815-00000102-spnannex-ent
 禁煙原理主義者の皆さんは、今回は分が悪そうだ(笑)。

 追い打ちをかけるわけではないけれど、このいやらしい要望文書を今後のために解剖してみよう。
http://www.nosmoke55.jp/action/1308kazetatinu.pdf
 まずあて先は、《映画「風立ちぬ」製作担当者 様》となっている。ここで「宮崎駿 様」でないところが味噌ですね。「製作担当者 様」とすることで、対象をぼかし「我々は国民に人気のあるジブリ映画を、天才宮崎駿を糾弾しているのではないですよ」というところをかもし出そうとしているのかも。
 そして表題は《映画「風立ちぬ」でのタバコの扱いについて(要望)》である。「要望」これが後半になって効いてくるのでご記憶願いたい。
 さて、本文である。冒頭に条約の条文を持ち出して、《この作品は条約違反ということになります》と脅す。ううむ、なかなか脅し慣れている文章と見た。喫煙文化研究会も言っているように根拠のないことなのだが、素人が読むと「条約違反なのか……」と思わせてしまう説得力がある。さすが左巻き
 その脅しの後が、いちゃもんである。喫煙するシーンばかりで《数え上げれば枚挙にいとまがありません》と言う。そんなことはない。数えていけば、喫煙シーンはこことこことここくらいの話で「枚挙にいとまがない」はいささか大袈裟であろう。針小棒大もこの手の連中が使う常套手段である。
《なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはずです。》
 ここについては昨日の日記で指摘しているので割愛するが、このフレーズを含めて、3項にわたって因縁をつけている。
「きっちりとした表現をせんかいな」
「子供に影響が出たらどないしてくれるねん」
「有名企業が法律を無視していいんかいな」
 要約すると上記のようなことを言っている。
 そして〆である。
《なお、このお願いは貴社を誹謗中傷する目的は一切なく、貴社がますます繁栄し今後とも映画ファンが喜ぶ作品の制作に関わられることを心から希望しております。
 どうぞその旨をご理解いただき、映画制作にあたってはタバコの扱いについて、特段の留意をされますことを心より要望いたします。》
「要望」と言いながら「いちゃもんなんかつけてへんがな。わいらかてあんたの店が繁昌してほしいと思うてまんねん。ただな、わいらの言うことも理解してーな」と言っている。
 ワシャはあんまり上等の人間ではないので、そう読めるのだから仕方がない。
 そして、ジブリの本道である「映画製作」にあたっては、タバコ描写については映像の良否、物語の是非などより、「日本禁煙学会の意向を尊重しろ」と言っている。まさに暴論であろう。
 少数の声の大きな連中が、世論操作をする時代は終わろうとしている。そんな現実を見せてくれたクレーム事件だった。