あとからくる者のために

 イエローハットの相談役で、便器掃除を素手でやる「掃除道」のカリスマでもある鍵山秀三郎さんが、香川県の中学校で中学一年を対象に講演をされた。その時に以下の詩を引用する。

あとからくる者のために
苦労するのだ
我慢するのだ
田を耕し
種を用意しておくのだ
あとからくる者のために
しんみんよお前は
詩を書いておくのだ
あとからくる者のために
山を川を海を
きれいにしておくのだ
ああ後からくる者のために
みんなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
未来を受け継ぐ者たちのために
みな夫々自分でできる何かをしてゆくのだ

 これは、坂村真民という仏教詩人の書いたものである。詩の中にある「しんみん」とは「真民」で自分のことを言っている。

 ううむ……この詩を突き付けられると、穴があったら入りたくなるわい。「オレがオレが」と自分が前に出ることしか考えてこなかった。あとからくる者のために、山を川を海を、きれいにしておかなければならない。そのことを失念していた。大気を、河川を、海を、己の利益のためだけに汚して平然としている支那中国人のことを嗤えないなぁ。この詩や鍵山さんに人生の早い時期に出会えた中学生は幸せだと思う。

 さて、その詩のことである。これは『坂村真民全詩集』(大東出版社/全6巻)の第3巻に収められている。真民の詩は、どの詩を読んでもわかりやすい。ワシャは「詩」という表現はあまり好きではないのだが、それでも真民の詩はいいと感じている。根底に仏教思想が流れていて、そのために詩を読んでいると、心がやわらかく癒されるのである。鍵山さんをはじめファンが多いのもうなずける。

 坂村真民、けっこういいですよ。