夜郎自大

 昨日の朝日新聞「オピニオン面」。精華大学の院長である閻学通氏が吠える吠える。
http://www.asahi.com/news/intro/TKY201212110762.html
 論旨は、「中華民族の復興でアメリカとの衝突は不可避」「中国は欧米の『民主主義』『自由』『平等』よりはるかに高いレベルの政治道徳を持っている」「日本は弱国、中国にひれ伏せ」てなことを言っている。
 もう少し細かく氏の主張を分析しよう。アメリカとの政治・外交面での競争が激化すると前置きをしてこう言う。
《中国が周辺環境を改善するためには友好国を増やす必要があるからだ。ところが米国の『アジア回帰』戦略は、東アジアでの同盟ネットワークを狙ったもので中国を孤立させる。》
 う〜ん違うな。
 そもそも支那中国の周辺地域への侵略が先だった。チベットしかりウイグルしかり。第2次世界大戦以降、武力による領土拡大をした国家は支那中国だけである。現在でも、東シナ海南シナ海他国領海への侵略を進めている。そんな野心丸出しの独裁帝国と友好関係を築こうなどというマヌケな国はないって。
 北朝鮮金正日ですら、こう遺言を残している。
http://japanese.joins.com/article/368/150368.html
「歴史的に我々を最も苦しめた国が中国」
「中国は現在、我々と最も近い国だが、今後、最も警戒すべき国」
 ほう、しっかりと現実を見ていたんだね。舎弟にも「危険視」されていて、それでも「友好を」と空念仏を唱えるのである。裸の王様と言っていい。

《中国に距離をおき始めた国もある。典型的なのはフィリピンだ。中国の友好国だったのに、大統領の交代、米国のアジア回帰路線を受けて突然敵対的になった。ミャンマーのケースも中国にとっては警鐘だ。》
 フィリピンが突然敵対するものか。支那中国が南シナ海でフィリピンの領海を脅し盗ろうとしていることに起因している。テメエの悪は棚に上げて、人に罪をなすりつけてばかりいる困った国だ。
 このオッサン、儒者らしい。だから「中国は欧米の『民主主義』『自由』『平等』よりはるかに高いレベルの政治道徳を持っている」と豪語する。つまり、儒教の思想が欧米の主義主張より優っていると言いたいんだね。
 それはそうだと思う。儒教そのものの思想性は、現在の「民主主義」などよりもはるかにレベルが高い。しかし、それは実践されてナンボという問題なのだ。儒教思想と比べれば稚拙なのだが、それでも民主主義は実践されている。
 孔子出でて2500年、彼の国で儒教道徳が国の隅々まで行きわたり実践されたという話を寡聞にして知らない。春秋戦国の時代以降、彼の人民が道徳的に馴致されたことがあっただろうか。いかに高邁な思想・道徳があろうとも、隅々まで照らしてこその政治道徳だろう。論語を読めば、あちこちから品性下劣な人民に嘆息する孔子様の姿が浮かび上がってくる。そんなものだわさ(笑)。
 旧聞に属するが、閻氏が引き合いにだした古代の政治道徳より最近の話だが、中国広東省で起こった中国の少女が倒れて、車に2回も轢かれているのに誰も助けようしなかった事件、覚えていますか。通りすがりの19人目の中国人女性が助け上げたのだが、この女性以前の18人は、道徳とかけらも持ち合わせていないと思うがいかがかな。
 
 閻氏、儒教思想を基礎にして、アメリカが専売特許とする民主主義、人権を凌駕するアジア的価値観を作り上げると豪語した。ムリムリ、2500年たっても支那中国ではできないって。

 同じ紙面に、南シナ海領有権問題でベトナムが反中を打ち出しているという記事が載っている。同記事の中では、フィリピンの対中不信についても触れている。
 その横に、《ウイグル族3人に死刑》という北京電が小さく載っている。相変わらず独裁体制は、周辺民族のすり減らしに余念がない。恐ろしいことだ。