岡崎市長選と大村知事

 21日に投開票が行われた愛知県岡崎市のトップを決める選挙。候補者は2人、一人は内田康宏氏(59)もう一方は園山康男氏(47)であった。
内田氏の父親は剛腕市長と言われていた内田喜久氏である。この人、建設業界との癒着で政治資金を得ていたとかで現役市長のときに逮捕されてしまった。また昭和55年の康弘氏の国政出馬のときの買収事件も凄かった。県議・市議あわせて60人が逮捕されている。ワシャは岡崎の隣町に住んでいるが、ワシャの町の議員も逮捕されているから、かなり広い範囲に影響が出た買収事件だったと思う。そんな後遺症をかかえる内田氏と、大村知事の支援を受けた園山氏のガチンコの選挙戦は、後遺症の内田氏が87269票で辛うじて逃げ切った。票差は14000余、接戦と言っていい。
 内田事件という負の遺産を背負う内田氏を追い込めなかった大村知事の求心力は低下していると見て間違いなかろう。
 しかし大村知事は強気だ。22日の記者会見で「時期衆院選への影響はまったくない」と否定し「第三極の受け皿ができていないから、民主党がへこんだ分だけ自民党が押しあがった。早く具体的な受け皿を示すことが大事」と強調した。
 それは違う。岡崎市長選の構図が自民党VS日本一愛知の会という図式だったじゃないか。日本一愛知の会の代表は大村知事自身であり、日本一愛知の会が第三局ではなかったのか。それもさ、国政ではないのである。日本一「愛知」の会が国政進出への基盤としている「愛知」の地方選なのだ。そこで敗けた事実が影響を与えないわけがない。そして愛知で第三極の受け皿を作るのは、橋下大阪市長じゃない。大村知事、あなた自身なのだよ。他人事のように評論している場合ではない。
 選挙は受け皿でするものではなく、人でするものなのだ。とくに尾張と違って、三河は戦国の頃からスローガンで大きく動く土地柄ではない。じっくりと人を見て、これならばと見極めてからゆっくりと腰を上げる。そういう地域性を踏まえておかなければいけない。
 それに、そもそも大村知事は選挙下手と言われている。自身も何度か衆院戦で小選挙区を落としている。県議選、市長選挙でも大村氏が応援に入ると落ちる。そのあたりをきちんと検証しないと、日本一愛知の会は日の目を見ませんぞ。
「影響はない」などとブラフをかましている暇はない。国政選挙は近づいている。