御園座昼の部

 昨日、御園座へ行く。昨日は昼の部で「八重桐廓噺」、「蝶の道行」、「伊勢音頭恋寝刃」である。八重桐は時蔵が演じた。時蔵女形として完成していると思う。見ていて安定感がある。腰元のお歌を立役の亀蔵が演った。不細工でまことにおもしろい。
「蝶の道行」は、菊之助七之助である。二人とも若く綺麗だ。こういった若手がどんどん育っていくのを楽しみにしている。ただ、この演目ちょいと短いな。30分程度の舞なので、もう一つ物足りない。
「伊勢音頭恋寝刃」は勘九郎、脇を固めるのが、仁左衛門、左団次、菊五郎と重量級である。勘九郎は熱演していたが、やはりお三方の演技に少し押されぎみだった。三人のうちの一人を若手に替えてもよかったのではないか。
 どちらにしても、勘三郎という中村屋の大看板を欠きながらも、勘九郎、よく座頭を勤め上げていた。及第点だ。
 今回の収穫は、成長著しい七之助だった。安定感が増している上に美しい女形に育ちつつある。そりゃ七之助ちゃんももう29歳だからね。とがった顎、頬骨あたりにもう少し肉が付くと完成だと思う。これからが楽しみな役者である。
 もう一人、中村梅枝が存在感を示していた。「八重桐」の白菊、「伊勢音頭」のお岸など重要な役をさりげなく演じている。顔立ちも父親の時蔵より小作りなので女形には最適だろう。これから注目して観ていこうと思う。

 昼の部が終わったのが午後2時55分。やはり「蝶の道行」が短い分だけあがりも早い。御園座の外に出れば、秋晴れのいい天気である。地下にもぐるのがもったいないような上天気なので歌舞伎仲間と名駅まで歩くことにした。御園座の玄関を出て、西南の交差点にある「白波五人男」のからくり時計がちょうど3時からの開演だったので7分間の上演を楽しみ、その後、広小路通りに出て西に向かう。
堀川を渡ったところで、ワシャの八方目の視界の端に気になるものが引っ掛かった。ガチャマシンである。普通のガチャガチャなら見過ごしていた。しかし「和の心 仏像コレクション」という文字があったので見逃さなかった。
 一度、奈良駅前でこのガチャマシンと遭遇した。その時は、弥勒菩薩が出たものである。それをお土産にあげた上司がとても喜んでくれたことを思い出す。
 もちろんまた挑戦しましたぞ。今回出てくるのは、制多迦童子、風神、雷神、薬師如来である。300円を投入し手にしたのは如来さんだった。この如来さん、典型的な如来像で結跏趺坐を組んでいる。左足が上になっているので降魔坐だな。右足が上になる吉祥坐が多いので、珍しいタイプと言えそうだ。お姿は一切の装身具をつけず、ただ一枚の納衣をまとっただけである。そのまとい方は左肩から斜めに右わき腹まで衣を垂らし、そこから右の背中をとおって右肩を覆う。偏袒右肩(へんたんうけん)というまとい方になっている。要するに薬師寺薬師如来さんの写しである。
http://www.nara-yakushiji.com/guide/hotoke/index.html
 それを戴きながら幹線沿いの喫茶店で反省会をした。あ〜楽しかった。