北一輝

 昨日の午後、読書会があった。課題図書は、渡辺京二北一輝』(ちくま学芸文庫)である。これは手強かった。『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー)、『黒船前夜』(洋泉社)のように具体的な事歴についての記述ではなく、北一輝という人物の思想的な側面を諸文献から検証するかたちをとっている。例えば北一輝の著作の『国体論及び純正社会主義』とか『日本改造法案大綱』などは読んでおかなければならなかった。もちろん読もうと努力はしたのだが、あまりにレベルが違い過ぎて歯が立たない。渡辺京二に言わせれば、大作家の松本清張北一輝研究者の松本健一ですら、「めしいがふたりかけあいをやっている」と断ぜられるのだ。このご両所が読み切れないものを、ワシャが読み取れる道理がない。
 でもね、三人寄れば文殊の智恵ですなぁ。9人の読書家が結集した結果、何とかかんとか、渡辺京二の言いたかった「北一輝」というものがおぼろげながら見えてきたような気がする。見えたとは言いません(笑)。