落語会

 夕べは地元で落語会。真打ちは春風亭一之輔、この3月に昇進したばかりのホヤホヤの師匠である。生年は昭和53年というから34歳、落語家としてはまだ駆け出しと言っていい。
 しかし、上手い。名人小三治が絶賛するほどである。なんと21人抜きというから大抜擢ですな。小三治は言う。
「世間では私が決めたようになっているが、理事会の総意として名前が出てきた。私はそれから(一之輔の高座を)聞きました。これは久しぶりに見た本物。芸に卑屈なところがない。『この人以外に考えられない』という気持ちにさせてくれたのがうれしい。なかなか希有な素質ですよ。選ばしてくれてありがとう」
 確かに、大須で聴いた真打五人会のメンバーよりも、落語が練れている。どこまで発展していくのか楽しみな逸材が出てきた。
 昨日の高座は2席つとめた。仲入り前は、泥棒噺、残念ながらワシャの乏しい知識では、なんという噺か特定できなかった。
 トリの噺は大ネタ「子はかすがい」だった。後半でほろりとさせるいい話なのだが、ううむ、一之輔、もう一歩、人物描写が甘い。多分、落語会の終了時間を気にしたのか。後半を少し端折った。以前、桂ざこばで聴いたことがあるが、ざこばの方が女房の描き方が丁寧で、最後のところでほろりときたもんだ。もう少し年季がいるか一之輔。

 その他に前座の春風亭一力、この子も平成21年入門の割に上手い。たぶん大学の落研出身だろう。ネタは「たらちね」。
二つ目は、春風亭ぴっかり。女流落語家だ。ネタは「反対車」。
 この三人に江戸曲独楽の三増れ紋が加わって楽しい落語会だった。