落語会

 夕べ、地元で落語会。出演は三遊亭遊かり(ゆうかり)、三遊亭遊里(ゆうり)、瀧川鯉昇(りしょう)、笹乃右女花(うめか)、春風亭小柳枝(こりゅうし)だった。
 遊かりは女噺家である。まもなく二つ目になるとのことだが、寺の本堂に満タンの300人の客を前に少し緊張したか。演目は「子褒め」。噺しようによってはもう少し受けるのだが……。師匠は遊雀。大師匠は「笑点」の小遊三で初孫弟子だそうな。
 遊里は二つ目。演目は「饅頭怖い」。前回からなのだが、椅子席が増えた。そのために後方から高座が見えにくい。そのために笑いが少なく、遊かり、遊里にはやや厳しかったか。
 仲入り前は鯉昇である。鯉昇は高座の高さにこだわる。客からの見え方を大切にする噺家なので、おそらく昨日の高座は会場のしつらえからすると低いと思ったはずである。それでもさすがに鯉昇、マクラは禿げ頭をペロリと撫でて「私、舛添さんに似ていると言われるんです」で大爆笑をとる。
 演目は「茶の湯」。一心に働いて身代を築いた大店の主が隠居をする。ところが道楽がない。そこで丁稚の定と茶の湯を始めるのだが、何も知らない素人茶で大騒ぎになる……という噺。これも古典とは大きく違って、鯉昇アレンジが炸裂する。元の噺は抹茶の代わりに「青黄粉」と「椋の皮」だったのが、「青黄粉」「洗剤」「絵具」に変えてあった。飲むものに「洗剤」と「絵具」は乱暴だが、それでも鯉昇のオーバーなアクションを導き出すからおもしろい。
 仲入り後は舞踊の右女花。う〜ん、客は笑いに来ている。おどりもいいけれど少し物足りない。
 そしてトリの小柳枝が体調を崩し休演となり、その代演が立川談幸(だんこう)になった。ワシャ的には小柳枝よりも談幸のほうがいい。談志の弟子である。立川流四天王には水をあけられているが、やはり談志の薫陶を受けている。古典落語のおもしろさをしっかりと伝える爽やかな芸風だ。演目は「死神」。これは圓朝グリム童話に材を得て創作した話である。死神と貧乏な男のやりとりが妙味なのだが、これも高座の高さに祟られた。なにしろ談幸の全身が見えない。真面目な噺家だけに体現が封じられるとやはりおもしろみに欠けた。高座を30センチ上げてくれ〜。