武士の徳目

 ワシャの地元に愛知教育大学がある。今回のオリンピックの陸上男子1600mリレーに出場する中野弘幸選手が、その大学院に在学している。地元なのでもちろん応援してまっせ。

 昨日のレースは予選第7位で、決勝に進むことは叶わなかった。中野選手はアンカーでがんばったんだけどね。
 そもそもトラック競技は、黒人系が圧倒的に強い。ボルトなんて本当に人類なのだろうか。走りを見ていると火星シリーズの緑色人のようだわさ。

 脳みそまで筋肉でできていそうな黒人、白人を相手によくぞ小柄な黄色人種ががんばってくれた。それだけでも手を合わせたいほどありがたい。

 実は、中野選手とはオリンピックに行く前に話をしたことがある。その時に、「将来はどうしたいの?」と愚問を発したことがあった。それに彼はこんなふうに応えた。
「ぼくは地元で教師になりたいです。三河の子に接し、その子供たちが大きな世界に羽ばたくための、お手伝いをしたい」
 彼はトップアスリートであるにも関わらず、ラーメン店でアルバイトをしながら大学院に通って勉学に勤しんでいる。こんな素晴らしい先生が、地元の教師になってくれれば、きっと子供たちにいい影響が与えてくれるものと確信する。

 大津の事件に端を発した「いじめ」の問題で、無能な教員が炙り出されている。その連中と中野選手は、どこが違うのだろう。
 武士の徳目というと大げさだが、薩摩武士などが最後まで持っていた徳目の「潔さ」これを中野選手は持っていた。トップアスリートで居続けるためには、その切磋琢磨は生半可なものではない。その上に自身が目指す教師になるための勉学がある。さらに学費を稼ぐためのアルバイトもしなければならない。ここまで磨きこんで初めて切れ味のいい刃(やいば)が鍛錬されるのである。
 どうだろう。いじめ問題で見て見ぬふりをした教師たちは、自分の刃を打ち鍛えてきたのだろうか。鍛錬で分からなければ人生経験と言ってもいい。記憶力に頼る頭ばかりの勉強だけではなく、他者の気持ちを慮る力、この部分をきっちりと鍛治(たんや)する人生の勉強をしておくことが必要だと思う。
 そういった意味では、中野選手は第一等の教師になる。そう信じている。

 今朝は、実は他のことで怒り心頭なのだが、それはもちろん「李明博竹島上陸」「消費増税法成立」なのだが、そちらに筆を進めると、冷静さを失ってしまう。だから敢えて話柄を変えた。冷静に考えられるようになったら、書き始めたい。