井戸の茶碗

 昨日の続き。
 トリは春風亭小柳枝。演目は「井戸の茶碗」。
 噺から逸れるが、これがその井戸茶碗、銘を「細川」と言う。
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2008/spring.html
「細川」もいいが、ワシャは「喜左衛門」がいい。
http://homepage3.nifty.com/yakimono_gallery/2007_koten/ohido_kizaemon.htm
 高台脇に浮き出る鰄(かいらぎ)が見事だ。
 話が逸れた。落語「井戸の茶碗」である。
 ドラマの発端は、くすぶり汚れた仏像から始まる。正直者の屑屋清兵衛が、流し歩いていると、裏長屋に住まいする侍の娘に声をかけられる。なりは粗末だが上品な父娘から仏像を引き取り、それがきっかけとなって話が思わぬほうに転がっていく。元々は講談話なのだが、実にいい人情噺に仕上がっている。
 演ずる小柳枝、東京は四谷の生まれだから江戸の風情が身についている。マクラで演ったいろいろな物売りの声は江戸の景色が見えるほど情緒があった。
「きんぎょ〜〜〜え〜〜きんぎょ〜」

 麻布谷町、西応寺裏の長屋、白金細川屋敷など、現在の東京都港区を舞台にして、思いやりのある人々の心が通い合う。

 さて、その他の出演は、江戸屋まねき猫、小柳枝の弟子の笑松(しょうまつ)、鯉昇の弟子の鯉○(こいまる)である。鯉○は入門1年目の前座で、落語は、前座噺の「まんじゅうこわい」、1年目の前座にしては良くできているほうだ。25歳という年齢、落語の仕上がり具合から見ると、大学の落研出身だな。
 笑松は39歳の二つ目、新作落語をやった。もっている雰囲気はいいのだが・・・・・・。
 まねき猫である。登場したときに本当に招き猫に似ていると思った。顔がまん丸で、目が糸で引いたように細い。丸顔は父の先代猫八生き写しだ。
 しかし、梅雨の季節に秋の虫、秋の動物の鳴きまねはいただけない。せっかくなのだからこの時期(と言っても難しいとは思うが)の虫、動物を聴かせなきゃ。