落語会

 地元の図書館で「落語会」。会議室に仮設の高座をつくっての手作り感満載のものである。ただし、出演はすごい。瀧川鯉昇である。
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 落語通に言わせれば、笑点メンバーや立川流の演者とは質を異にする。こればかりは観ていただくのが一番早いのだけれど、間、セリフ回し、声、創作力、そしてルックス、どれもが芸として立っている。東西の落語家を合わせてもトップグループに入っていることは間違いない。63歳になっているので、これから芸が枯れ始めるのが楽しみだ。その鯉昇がたっぷり二番、「時そば」と「御神酒徳利」。
時そば」は鯉昇アレンジの「ココナッツ編」、そもそもそば屋が中東の人とのハーフっていうんだから、設定そのものから変なのだが、それが大爆笑を生んでいく。
「御神酒徳利」は正統派であった。時間を大幅にオーバーしていたので、途中をかなり端折ってはいるが、それでもまったく聴きづらくない。江戸、神奈川、大坂とところを変え、登場人物が幾人も現れる大ネタだが、鯉昇にかかるとさらりと聴けるから不思議だ。説明なんかもけっこう必要なのだが、物語はトントンと進んでいって、主人公がたいそう成功をするという縁起のいい噺だった。

 前座をつとめたのが一門の桂たか治、普通は前座が二番高座に上がるということはないのだが、そこはそれ、誰かが無理を言ったんでしょうね(笑)。演目は「牛ほめ」と「元犬」を掛けた。前座噺としては王道で、素直な噺家と見た。平成元年生まれてまだまだ若い。見た感じもいがぐり頭で高校生のような。でもね、声もいいし、間もまあまあ、仕草だってどうどうとしてきめ細かい。岡崎の出身なのだが、江戸弁も板についている。今後の精進次第でおもしろい噺家になるのではないか。
 鯉昇師匠も「お客様が噺家を育てる」と言っていた。実際に師匠自身、前座の頃から、地元の落語会に顔を出している。そのご縁での「図書館落語会」の口開けをお願いしたらしい。
 落語は日本のすぐれた文化である。クールジャパンのひとつであることは論をまたない。柳家喬太郎もいいし、立川志の輔を聴くのもいい。しかし、前座から噺家を育てていく過程を楽しむというのも古典芸能の醍醐味ではないだろうか。
 また、楽しみが増えたわい。