昨日、南海トラフの地震による津波想定が発表された。テレビも新聞も大騒ぎである。
《太平洋岸の自治体に衝撃 高知最大34メートル「住民守れる根拠ない」》
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120331/dst12033122320009-n1.htm
東海東南海南海地震連動型の震度を東日本大震災並みのM9.1に設定すれば、そうなるのは当然で、今さら驚くにはあたらない。
そして早くも、この騒ぎを利権に変えようとする動きが出ている。
《日本の周囲に津波ブイ網=「しんかい」後継、透明操縦室案も―平新理事長・海洋機構》
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120401-00000012-jij-soci
海洋研究は大切だと思っている。しかし、警報津波ブイを開発して日本列島のまわりに100個沈めてもあまり意味がない。どちらにしてもプレート地震が発生すれば、大なり小なり津波は発生し、あっという間に沿岸に殺到する。そんなことは今回の震災でみんなわかっている。
「しんかい」の後継機の潜航能力を引き上げ、東日本大震災の巨大地震が起きた日本海溝などを人間の目で調査できるようにするという。でもね、そんなものを肉眼で見たからと言って、屁のツッパリにもならない。その証拠に、地表に出ている断層を見て、「かつてここで地震があったんだ」ということは理解できるが、その断層から次の地震の予測を導き出すことは不可能だ。「しんかい」は「しんかい」で予算を要求すればいい。地震と絡める必要はない。
そもそも地震学などというものは、研究途上の学問で、上底ブーツのアウトソール越しに足の裏を掻くようなまどろっこしい学問と言っていい。
海洋研究開発機構はよくやっていると思う。でもね、内閣府のから騒ぎに巻き込まれてはいけない。しっかり、地に足をつけて、自らの研究を進めればいい。
南海トラフで巨大な地震はまちがいなく起きるだろう。しかし、それは明日かもしれないし、100年後かもしれない。もしかしたら1000年後ということもある。それほど振れ幅が大きい。何をすれば一番効果的なのか、騒ぐばかりでなく冷静に考える必要がある。