今週の『週刊現代』はおもしろい

 一押しは、なんといっても連載の「なんなんだこの空気は」である。日垣隆さんのメディア考現学で、今回は、先般、都内で行われた勉強会のことが取り上げられた。ワシャはその現場に立ち会っていたのだから、この記事が倍おもしろいことは言うまでもない。やはりライブに勝てるものはないのだ。
 記事は、勉強会だけではなく、その後、開催されたパーティーについても触れている。そこではリアルな情報交換を意識して交流をした。このために爆笑につぐ爆笑で、久しぶりに腹の皮がよじれたわい。
 おっと『週刊現代』の話だった。
 今回から「創業者列伝」というシリーズが始まった。主人公は株式会社平田牧場の会長である新田嘉一氏である。それはいいのだけれど、新田氏と鼎談をしているのが、菅原文太氏と佐高信氏なんですね。佐高信さんと言えば、前述の日垣隆さんに『偽善系Ⅱ』(文藝春秋)でスコンポコンにやられた方なんですね。チョー苦手な日垣さんと同じ誌面に載る、どんな気持ちなんでしょうか。まぁ、佐高さん、厚顔だから気にしてなさらないとは思いますが。
 佐高さんの顔写真が載ったのはご愛嬌としても、今週号はその他の記事が良かった。まず、曽野綾子さんの「猫ひろしさんへの違和感について」は「国籍」を考える上で、とても役に立つ。オリンピックに出たいがためにカンボジア国籍を取得する行為に厳しい意見を表明している。
カンボジアという国に礼儀をつくせるのか」
「家族にもカンボジア国籍を取得させるだけの覚悟があるのか」
カンボジア人になった運命を受け入れられるのか」
 そう疑問を投げかけた後、曽野さんは猫さんに優しくこう諭す。
カンボジアは今でもいろいろな問題を抱えています。その国の籍を取って、クメール語を勉強し、カンボジア人としてカンボジアのためになることをしていく姿を見せてくれたとき、彼の選択が大きな覚悟を伴ったものであったことを、私たちは知るでしょう」
 曽野さんの期待は大きい。猫さんはその期待に応えられるだろうか。

 ワシャの週刊誌購入のルールは、「読みたい記事が2本あれば購入する」である。だから、『週刊現代』は「なんなんだこの空気は」が1本目としてあるので、購入率は高い。しかし、今週号は読みたい記事が目白押しでぜんぜん悩まなかった。
 災害フリークのワシャにとっては「大川小学校 生き残った生徒たちの証言」も興味を引かれた。今さらながらに津波の怖さを実感した。ワシャが、あの時にあの場所にいたとして、何ができたろう。残念ながら、あの時点での津波災害の認識は、大川小学校の先生や近所の人たちと大差のないものだった。少しばかり災害をかじっていても、現実の前には何の役にも立たなかったろう。
 我々は全ての現場に立ち会うというわけにはいかない。なるべく現場を見ようとは思っているが、それでも限界があることは論をまたない。その欠落部分をどう補うか、それはやはり読書しかないだろうと思っている。
 今週号には災害関連の記事がもう1本あった。「もし震度7が来たらこう思いなさい」である。「震度7」に供える7カ条というものが示されており、これは役に立つ。大切なことなので写しておきますね。
1、 家具は絶対に固定しておく。
2、 寝室の足元にはスリッパを用意(因みにワシャは運動靴を置いている)
3、 火は消しガスの元栓を締める。
4、 電気のブレーカーも遮断する。
5、 路上では建物から極力離れる。
6、 自分のいる建物の安全を確認
7、 必ず生活必需品を備蓄
 こういった記事を防災担当者の何人が読んでいるだろう?この間、防災の担当者が「目(ま)の当たりにした」を「目(め)のあたりにした」と説明原稿を読んでいたので、期待するのは無理かもしれない。今日、コピーを持っていってやるか。迷惑がられると思うけれど……。
 昨年、経済産業省を退官した古賀茂明さんの連載「官々諤々」もおもしろかった。
《民主も自民も同じ穴の貉。経産官僚と電力会社の言いなりになっているのである。》
 仰るとおりだと思います。
 その他にも「長生きしたければ病院に行くな」や「いつまでも若く見られる方法」など興味を引かれる記事が多く、今週号はとてもお得感があった。もう一冊買おうかと思ったくらいなのだった。