正義のマスコミ

 元々、ワシャはテレビ報道などに信を置くものではない。日垣隆『情報の「目利き」になる!』(ちくま新書)や、勝谷誠彦『あっぱれ!朝日新聞(笑)』(WAC)などを熟読しているので、テレビも新聞も斜に構えて眺めている。実際にそのくらいが丁度いい。
 それにしても、日曜日の「真相報道バンキシャ!」は酷かった。コメンテーターとして並んでいたのは、中央大学教授の野村修也と、漫画家のいしかわじゅんである。この識者たちのコメントが情けない。
 野村は、タイの洪水でコメントを求められ、「地球温暖化のせいで洪水がおこっている」と言い切ってしまった。おいおい、それって検証済みの話なんだろうな。今回の洪水は、本当にCO2に起因するなんてことを、どこの科学者が言っているのかな。仮にも野村は弁護士である。弁護士が論拠のないことを、電波で垂れ流してはいけない。
報道がタイへ進出する日本企業が多いことを告げると、いしかわはこう言う。
「タイにここまで日本企業が入っているとは知りませんでした」
 本当に知らなかったのなら、テレビに出てきて偉そうなごたくを並べるのは止めろ。そんなことは、愛知県の田舎のオッサンでも知っているぞ。

真相報道バンキシャ!」はこんな報道もする。
宮城県仮設住宅の寒さ対策を指弾するために、サーモカメラを持ち込んで、室内温度を計測してみせる。カーテンを開けた室内がガラス越しに入ってくる冷気によって、どんどんと冷えてくるのがよくわかる映像になっている。この時期に宮城県で、カーテンを開けていれば、そりゃあ寒いって。愛知県のワシャだって、カーテンを閉めて寝ているくらいだからね。窓を閉めれば、冷気の侵入はかなり防げるし、それでもだめなら厚手の毛布をたらせばずいぶん状況は変わってくるはずだ。
 そういったことをせずして、「防寒対策をとらない宮城県は最悪だ!」というのはいかにもイメージ操作のような気がするが如何かな。
 また、「窓枠が結露する」と仮設住宅の住民に言わせている。結露は愛知県でも鹿児島でもするものはする。外気温と室内の温度の差が大きければ大きいほど、それは仕方がない。なにしろ仮設住宅などというものは急場ごしらえで造らざるをえない。それに今月中に宮城県も対応すると言っているのだ。それを東京のテレビ局が上から目線で、もの申す筋合いのものではない。
 まだある。「バンキシャ」のクルーは老婆に何枚も服を着せて「寒いから8枚も着こんでいる」と言わせている。それでいいんじゃないの。寒いから着こむ、それは自然のことだし、生活の知恵ではなかろうか。ワシャなんて12枚(上だけで)着込んだことがありますぞ。
 東京のマスコミが、結論ありきの取材をして、オレたちは正義の味方なんだという思いこみで報道をするのは止めろよ。