罪なき者まづ石を擲(なげう)て その2

(上から続く)
 土下座と言えば、もう一つ、見ていて不愉快なのがありましたぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=nOQMfKeA2eA
 浪江町の住民が、東京電力の清水社長に食ってかかった。
「町民に謝らないで帰るんですか?」
「ここにもいっぱい浪江の人いるんですよ。謝らないんですか」
「土下座しろよ、清水」
「土下座しろ」

 避難民の怒りはわかる。ただ、清水社長を呼び捨てにして、土下座を強要しても空しいだけだろう。清水社長は、心から詫びていると思う。しかし、強制的に彼に土下座をさせても意味はない。そんなことよりも社長が目の前まで来ているのである。そこはお互いに胸襟を開いて話し合うということが必要ではないのか。
 清水社長が腹を切れば、一時の溜飲は下がるかもしれないがそれは根本的な解決ではない。切実な現場の状況を知ってもらって、そのことに対する策を考えてもらえるほうがはるかに建設的だと思うのだが……。
 少なくとも原子力発電所の誘致で、甘い汁を吸ってきたもの、地元利害関係者、そして行政関係者にも言えることなのだが、彼らに東電を責める資格があるのだろうか。
 ここで冒頭のエピソードが効く。 

 罪なき者まづ石を擲て。