英語教師との思い出 その1

 司馬遼太郎さんに「“独学”のすすめ」という一文がある。昭和62年に産経新聞に掲載されたものだ。そこで、司馬さんは中学校の時の英語教師とのやりとりを書いている。少し引く。
《中学の一年一学期の英語のリーダーに、New Yorkという地名が出てきた。この地名にどんな意味がありますか、と先生に質問すると、反応が激烈だった。怒声とともに、「地名に意味があるか!」おそらく、意図的な授業妨害と思われたにちがいない。》
 この教師とのやりとりを司馬さんは不愉快な思い出として、大人になってからも引きずっていた。司馬さんはこう続ける。
《家へ帰る途中、小さな市立図書館に寄って、司書の人に必要な本を出してもらって読むと、簡単にわかった。》
 司馬さん、この教師にはその後も目の敵にされたらしい。しかし、この嫌な教師のおかげで司馬さんは独学をするコツをつかむことができたそうだ。

ここで司馬さんの「物事を理解するコツ」を開陳しますね。
例えば科学などは、いきなり難しい本に当たるのはダメらしい。取りあえず少年・少女向けの本をできるだけ多種多様に読む。司馬さんは言う。
「子供むけの本は、たいていは当代一流の学者が書いている。それに子供むけの本は文意が明快で、大人のための本にありがちなあいまいさがない」
 よーし!ワシャも小学生向けの本を読みまくるぞ。
(下に続く)