愛知県議選分析 その3

(上から続く)
 ワシャは「日本一愛知の会」の候補者の演説を聞きにあちこち回った。知立市のスーパーの前で行われていた街頭演説では、大村知事の声が聞こえてくるではありませんか。
「大村さん、かなり張り切ってテコ入れをしているな」
 そう思って、遠くから拝聴しておった。ところが、ずっと同じセリフを繰り返すばかりで、「おかしいな」と思って近づいてみると、なんと「わらび餅売り」よろしくテープで声を流していただけで大村知事本人は不在だった。これはいかんでしょう。せっかく芸人を見に集まった有権者を失望させるでしょう。こんな方法であるならば、むしろ採らないほうがよろしい。
 こういった細々とした戦略ミスと、元々河村市長の風下に立っている立ち位置、橋下大阪知事の模倣でしかない稚拙な政策などが、重なって「日本一愛知の会」の大敗北を決定づけたのである。
 間違っても、候補者の努力が足りないなどと口にしてはいけない。

 この責任転嫁の発言のとき、ワシャはテレビの前で、福島の酒「大吟醸 榮川」を飲んでいたのだが、それを吹き出してしまった。あーもったいない。
 自分の動きが鈍かったこと、自分の政策ビジョンが甘かったことなどを棚に上げて、いけしゃあしゃあと候補者に責任をなすりつけて逃げを図っている。こういった卑怯な振る舞いは東京電力の幹部連とまったく変わらないではないか。ワシャは元々この官僚あがりの代議士を好きになれなかった。上昇志向の強さだけで政界を渡り歩いてきた元官僚の持つ胡散臭さを感じていたからに他ならない。
 いいか、リーダーは全ての結果に責任を持つからリーダーなんだぞ。ビジョンのないつまらない政党に、それでもそれぞれの候補者たちは藁をもすがる思いで集まってきた。そして統一地方選に臨んでいる。勝とうが負けようが、みんな、お前の仲間ではないのか。たとえ敗北したとしても、その敗軍の兵を包み込んでやるのが大将の力量ではないか。
 チンは、信長、秀吉の後の家康を気取っているようだが、もう少し歴史を勉強してからモノを言え。家康が一度でも責任を部下になすりつけたことがあったか。家康はそういうことをしなかったから家臣に支えられて天下を掴むことができた。
「今回、ボクチンの地方政党の敗北は、ボクチンのせいじゃないもんね。きっちりと働かなかった候補者の連中が悪いんだもんね」
 これが愛知740万県民の代表の言うセリフか。情けないにもほどがある。
(下に続く)