小泉純一郎講演(5)

(2月2日からの続き。今日で完結します)
 小泉さん、終盤にむけて会場に集まった聴講者を元気付けようと語気を強めた。
「日本のものはいい。中国人は日本製の炊飯器と日本の米を一緒に買っていく。それは、日本の米が美味いこととその米を炊くには日本の繊細な炊飯機能をもつ炊飯器でなければ上手に炊けないから」
「中国で2000円で売れる日本産のりんごがある。同じく日本のいちごが一粒300円で売れている。日本人の飽くなき探究心というか、これがやはり凄い。美味いもの、清潔なものへの細やかな気配りは、あらゆる面で発揮でき、強い国際競争力を持っていると思う」
 日本のいいところを取り立てて言っているだけなのだが、小泉さんが言うと、「そうだ、そうだよな、日本人ってまんざらでもないよな」と思えてしまうから不思議だ。これが優れたリーダーの資質なんだろうね。
 小泉さんは続ける。
明治維新から、西南戦争、富国強兵、日清戦争日露戦争と明治期は国民にとってたいへんな時代だった。しかし、当時は社会保障制度などというものはなかった。それでも、勤勉な国民は国を富ませるために必死に働いた」
 小泉さん、社会保障制度は必要だと言われる。しかし、今の過剰すぎるやり方には疑問を感じているようだ。確かに、真実の弱者は救済しなければいけない。だが、働けるものが怠け者、寄生虫になってしまうような現行制度には疑問を呈しておられる。これはまさに日々ワシャが考えていることと同じことだった。
 このことに関連して小泉さんは2冊の本について触れる。
「明治期の知識人の間でベストセラーになった本がある。スマイルズの『自助論』という本です。天は自ら助くる者を助く、セルフヘルプ。そして、福沢諭吉の『学問のすすめ』。この本を読んで明治の知識人は国を富ませるために頑張った」
 名宰相と言われる小泉さんはもちろん読書家でもある。だから敢然とした政治ができたのだと思う。
 それに比べて本を読まない政治家は情けないのが多い。例えば「踏襲」を「ふしゅう」と読んだ麻生さんも阿呆だった。麻生さんよりもっと意気地がないのがスッカラ菅首相だ。「週刊新潮」にすっぱ抜かれたが、答弁原稿の「百年」「努め」「国会」「三つ」「活気」などの漢字にルビをうたせているのがばれてしまった。自分に自信のある人物ならば、こんな情けない原稿を国会でひろげることはない。亡国の首相と言っていい。
(下に続く)