議論なき運動の不毛

 河村名古屋市長や竹原阿久根市長(元)が議会と徹底抗戦を続けてきた。この行動に雷同した千葉県流山市の「議員定数を考える会」が住民を巻き込んで議会を追い詰めようと、定数削減の署名を1万人分提出した。このことに危機感を覚えた議会側は、積極的に議会報告会を開催し、そこに議員定数削減を求める住民たちとの議論の場を求めた。この時、住民側からは意見らしい意見は出なかった。
 その住民の行動をみて、山梨学院大学の江藤俊昭教授がこんな意見を述べている。
《削減運動をしていた住民は、公開の場で意見交換をする責任がある。議論なき運動、つまり敵と味方に峻別する運動は、討議を重視する地域民主主義の破壊である。》
 まさに河村さん、竹原さんのやってきたことは、敵(議会)と味方(市民)を峻別しようとするもので、議論をしない、受け付けないという点を指摘するまでもなく地域民主主義の破壊だと思っている。
 江藤教授は雑誌に河村市長のことを書いている。
河村たかし名古屋市長が議会改革を提案している。単なる定数削減や議員報酬の削減が議会改革という思考は議会改革が地域民主主義を基本とすることから考えて大きな問題がある。》
《住民は、中央集権的な名残か、あるいは“水戸黄門主義”の伝統からか、指導者門主主義の好意を示しやすい。とりわけ、対立が生じた場合、機動的にスピードを持って動くことのできる独任制の機関である首長賛美となる傾向がある。》
 まさにこの指摘こそが名古屋の陥っている状況である。しかし、河村流はすでに鹿児島の一角で潰えた。
 はてさて河村さん、次はどう出てくる?