楽しい法事の過ごし方 その1

 昨日、海辺の町にある某寺で法事があった。天気には恵まれたが、冷たい北風の吹く寒い日だった。法事をとりおこなう本堂に通されたが寒いなんてものではない。堂宇全体が凍てついていた。風に音を立てている三方の障子が寒さをかき立てる。ブルル……たまりませんぞ。でもね、こんなこともあろうかとワシャはヒートテックの下着を着こんできたのでした。だから、顔と手は寒いけれど、体はホカホカなのである。
 法事は午前11時に始まった。広い本堂に朗々と和尚の読経が流れるのだが、あまりの寒さにその声が空中で凍ってしまう。木柾の甲高い音も宙で次々と凝固していく。凍った声や音が堂のあちこちに引っ掛かっているんですな。これが春になると一斉に融けはじめるからさあ大変。
「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経……」
「キンキンキンキンキンキンキンキン……」
そのうるさいことと言ったらありゃしない(笑)。
(下に続く)